此れからのこと 14
たぶんあたしは、此れから何が起こって、どうなってしまうのか知ってる。だからといって、この人達にそんなこと所詮は小娘の戯言とかたづけられてしまうだろう。
たぶん、奥様はある程度は予測が出来ているのかも知れない。でも其れは可能性の一つだ。そして、其れが解っていたからと言って、ちゃんと対策を取れるとは限らない。
たぶん、この国を狙っている者は居るだろう。半年前の事件が、其れを証明しているから。
あたしが貴族令嬢に成ったからと言って、国を動かせるわけでも無いし。立場が、嫡男でゆくゆくは跡取りにでも成れる立場なら、何とか足掻くことも出来るかも知れない。でも所詮は伯爵だものね。発言力はだいぶ低いよね。
マリアに成り代わっていたところで、父ちゃんの力を借りて、私兵団を強くするぐらいしか出来ないよね。実際、兵法のことなんか全然解んないし。元不良の学力では、何処かの軍師みたいなことなんか出来はしないのだから。こんなことになるんだったら、もう少し真面に戦国オタの戯言を聞いておけば良かったよ。
なんせあたしには、チート能力は無い。ちょっとばかし目が良いことと、結構運動神経が良いだけだしね。運動神経に関しちゃ、ほぼ父ちゃんに仕込まれたからだけれど。本当は、あたしをどんな娘にしようと思っていたんだろうね。今度聞いてみようかな。
あたし的には、この国が滅ばされてもかまわないんだけれど。大事な人たちが困った事になるのは嫌なのだ。
でもって、何だか知らないけれど、このマルーン地方のデニム伯爵家は、この国を守る要になっているみたい。だから、色々と遣ってきているみたい。
言い直そう。アリス・ド・デニム伯爵夫人こそが、この国の守りの要なんだ。だから、奥様の心が壊れることは、侵略者にとって狙い目なんだ。
ここにやってきて、あんまり美味しくも無い料理を食っている、このオッちゃんは悩みの種でしか無いのだろう。
読んでくれてありがとう。




