表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

284/1220

兵隊さん達との遊び 7

 あたしは的の方を見詰める。二人とも芯を捕らえていた。一射目の矢の位置はあたしの方が真に近い。因みにジャックは、僅かに芯から外れていた。

 審判役の兵士が、使った矢を回収して走ってくる。実はあの役回りが、一番間違いなく金になる。何しろ絶対に損はしないのだから。実は掛け金から、少しばかりお小遣いを出す事に成っている。この人数だと、銅貨一枚と小銅貨二枚が払われる事に成っている。いわゆる公正な審判を期待するためには、其れなりに良い思いをさせておかなければならないしね。そうで無いとゲームにならないし。公正な審判は大事。

「今回も勝ったのは御嬢。どうしてそんなに強ーんだ」

 審判役の兵士が声を掛けてきた。彼の顔は楽しそうに笑っている。どちらに為ても、懐が温かくなるのは確定しているのだ。今日の晩酌にエール一杯付く事は確定しているのだから、笑いが漏れてくるのは当然だろう。

「当然の事よ。だってあたしは父ちゃんの娘なのだから」

 あたしはそんな事を答えながら、一寸寂しくなった。生みの親の事をあたしは知っている。その事をさっき言われたばかりなのである。例えその事を否定した処で、生みの親はあの人達なのだから。

 奥様は兎に角、あたしは伯爵様の遺伝的繋がりがあると認めたくなかった。ぶっちゃけあんな屑の子供だと認めたくなかった。見た目は良いけどね。

 レイが皆の金を集めた兜をあたしに渡してくる。その中には銅貨が八枚、小銅貨が四十枚入れられている。小銅貨を結構大量に使った奴がいる。

 あたしは兜の中から、銅貨六枚を取り、秘密のポケットに入れる。何しろお仕着せのメイド服には四つも隠しポケットがあるのだ。大変便利に出来ている。時々着ることのあるドレスには、ポケットが一つも無い。その上結構重たく出来ている。

 残りの銅貨をレイに戻す。

「二等賞の貴方は、銅貨二枚を取って残りは皆で酒のたしに為てね」

と、あたしが言って。にぱっと笑う。

「ラルフご苦労さん」

 審判の役目を終えた、ひょろりとした体型の兵士を呼ぶ。あたしはポケットの中から、銅貨一枚と小銅貨二枚を取り出して渡した。こういった事はとても大事。もっとも、この金は後で仲間達との宴会で使われるだろう。こういった気遣いが出来るから、彼に審判を任せられるのである。



 

 

 


読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ