兵隊さん達との遊び 6
あたしの一射目が綺麗に的に吸い込まれて行く。他の連中の放った矢は、的を射る事が出来なかったのは一本だけだ。今回は、皆調子が良いみたいである。
でも、あたしを含めて芯を射貫く事が出来たのは居なかった。一射目で其れが出来るような奴はそうは居ない。なにしろ距離がある。的に到達する間には、風の影響が在るのだ。例え父ちゃんの作った、剛弓でも全く影響が無い訳では無い。
一射目で、微妙に狂った誤差を修正してくる。当然二射目は芯を喰わなければ勝ちは無い。最近は皆腕を上げてきているのだ。なんだかんだ言っても、皆此れで飯を食っているのである。半年も練習すれば、其れなりに剛弓にも慣れて悔いるって物だ。
ジャックが品の無い笑い声を上げた。何でこいつが彼女持ちなんだろう。金か金なのか。
あたしは更に集中力を上げて、僅かに弓の向きを修正する。ゆっくりと呼吸を整えながら、矢を番える。心の中に、的の芯をイメージする。
「次行くよ」
「おう」
「撃て」
お約束の掛け声で、全員の矢が一斉に放たれる。全ての矢が、的に吸い込まれて行く。今度は的を外す奴は居なかった。本当に皆今日は、調子が良いみたいだ。
審判役の兵士がでかい声を上げた。芯を喰った奴がいるのだろう。
彼はあたしの的とレイの的を指さしていた。
兵士達から響めきが上がる。
「流石だなぁ。御嬢はすごいや」
「また遣られたなぁ」
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