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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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兵隊さん達との遊び 5

済みません。本人が壊れておりました。流石に、身体が痛いときついですね。


 良い案配に的は六個が用意されている。台形に盛られた砂山に、三十センチの円い板の的が並んでいる。的の芯には、黒い小さな目印が書き込まれている。

 鍛錬の為の標的としてはありふれた物である。勿論予算の関係で、この標的は壊れてしまうまで使い倒す事になる。それでも、練習用の矢を使えば、板の間とを破壊してしまうことが無い。何しろ鏃に返しが作られていないのだ。

 腕試しゲームに参戦する連中が、各々適当に射撃位置に付いた。金髪碧眼のレイは、あたしの右隣にたった。左隣にはヤンキー顔のジャックがたった。

 何時ものように、腕試しゲームに参戦しない奴の一人が、百五十メートル全力ダッシュ為て行く。普段の鍛錬のせいか、かなり距離が在るけれど。ほとんど待たずに用意が出来る。

 彼が勝負の審判となる。最近は腕試しゲームに名乗りを上げる奴は、二本中一本は必ず的を射貫く事が出来る強者だ。半年前は、的に当るか当らないかで決着が付いていたのだけれど。最近は芯を食ったか食わなかったかの勝負になってきていた。

 元々、弓の扱いに慣れた兵士達ばかりなのだから、いくら扱いが難しかろうとも、其れなりに使えるように成っていないと行けないだろう。因みに手を上げなかった連中だって、的を喰うだけなら其れなりには出来るのだ。

 あたしの弓は、この連中のよりは弱い。流石に、威力も飛距離も小さいのだ。そのあたりは十三歳の女の子と、生粋の兵士との差は歴然としている。でも、あたしには長い経験と特別な視力がある。何しろ一番身体の小さな男より頭一つ小さいのである。それくらいのハンデがあっても良いよね。

「野郎ども。用意は良いか」

 あたしは何時ものように、かけ声を掛ける。此れはあくまでも腕試しだけれど、実践を想定した訓練でもあるのだ。一斉に矢を放てるのは当然の事なのだ。

 あたしは呼吸を整えながら弓に矢を番える。あたりの音が聞こえなくなってくる。集中力が、たかまってくるのを感じる。脳裏には、的が見えてくる。

「おう」

 全員が声を上げる。

「撃て」

 あたしの掛け声で、六本の矢が放たれる。ほとんど一つの矢を放つ音があたりに響く。

 一呼吸後には、既に全員が継ぎの矢を番え終わっている。なんだかんだ言っても、連中はおっかない弓兵なのだ。



読んでくれてありがとう。


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