兵隊さん達との遊び 4
「おい。レイ金を集めろよ」
黒い髪を短く刈り上げている男が、金髪碧眼の攻略対象、レイに命じる。レイと比べれば、お察しなヤンキー顔だけれど、村に帰れば彼女がいるらしい。本当かなとあたしは思っているけれど。兵隊という立場は意外に魅力的に見えるのかも知れない。
それに比べて、レイは浮いた話を聞かない。これだけ見た目が違うと、マルーン地方みたいに田舎だと、敬遠されてしまうのかも知れない。流石に攻略対象になるくらいだから、かなりな美形だと思うのだけれど。訳ありだから仕方が無いとは思うよ。
因みに攻略対象の中には、彼みたいに金髪碧眼の男子はいない。他は赤毛と黒髪。栗色の奴もいたかと思う。何分ちいちゃかった時に遣っていたゲームだったんで、いまいち細部を思い出せない。あの頃は、素敵な恋を夢見ていたりした物である。
「あいよ」
レイは何時ものように、そのあたりに転がされていた革の甲を拾って、皆の前に回して行く。こんな処を、偉いさんに見られたら、一寸やばいかも知れない。説教で済まないだろうな。鉄拳制裁か、その場での腕立て伏せ三十回って処か。
あたしはメイド服の、秘密のポケットから財布を取り出して、銅貨二枚を甲に投げ込んだ。デニム家のお仕着せのメイド服は、ポケットが何個もある。外からは解らないけれど、かなり機能性重視に作られている。作業服だものそうだよね。
そう言う点でも、貴族女性の着ている服よりずっとできが良い。何しろドレスには、秘密のポケットなんか付いていないから。意外に着ると不便なのだ。
この連中とも腕試しゲームは、参加費として銅貨二枚。弓矢で百五十メートル先にある、的を射貫くって言う単純な物だ。使える矢の数は二本。互いに矢が当ったら、より中心に当った方が勝ちとなる。参加者の中で、一番的の中心に矢が当った者が、参加費を賞金として総取りとなる。
因みに、此れまでの成績は七割かってる。あんまり勝ちすぎると、遊んでくれなくなるかも知れないしね。そのあたりは気を付けないと。鴨に逃げられては適わないし。
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