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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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伯爵夫人の告白 2

「マリアも驚いたわよね。此れには色々と事情があったのよ。その事を理解して欲しいの」

と、アリス・ド・デニム伯爵夫人が言った。彼女の表情は、気の毒になるほど辛そうである。

 あたしは、この状況をどうやって切り抜けたら良いのだろうか。乙女ゲームさくらいろのきみに・・・の設定通りなら、あたしを捨てたのは伯爵夫人では無い。彼女の父親である。先代の伯爵ウィレムスタット・ド・デニムの決断である。彼の命令により、他の貴族達から娘が獣腹などと揶揄されないように、父ちゃんに捨てるように命令したのだ。

 生まれたばかりのあたしは、母親に一度も抱かれる事も無く森に捨てられた。生まれたばかりの赤ん坊を、森に捨てる事は殺す事と意味は同じだ。その時のあたしは、目が開いたばかりだった。闇の中で、赤く光る瞳を見たら怖いかも知れない。だからといって、自分の孫娘をゴミみたいに捨てて良い物じゃないだろう。

 あたしは取りあえず知らなかった事にする。実際困惑しているのは本当なので、この伯爵夫婦がどのような事を言ってくるか、聴いてからどうするか決めても良いだろう。前世ののあたしなら、こんな状況には耐えられなくて、切れて暴れていたかも知れない。何だか第三者視点で、この面白くもない家族会議を眺めている。 

 伯爵夫人の告白はものすごく重たい。

「申し訳ありません。御母様意味が判りかねます」

と、マリアがあたしの顔を見詰めて言った。

「私に姉妹が居たなどと、伺っておりませんけれど。其れは本当のことですの?」

「居たんだよ。双子の姉がね」

 デイモン・デニム伯爵が、薄笑いを浮かべてマリアの問いに答えた。

 あたしは、この駄目親父の綺麗な顔を睨む。何が為たくてわざわざ帰ってきたのだろう。精神的に不安定なお年頃の、マリアがぐれるかも知れない。かなりショックだったと思う。其れでなくたって、誘拐事件で受けた心の傷がようやく癒えてきたばかりなのである。

 アリス・ド・デニム伯爵夫人は、案外この事を話さないでおこうと思っていたのかも知れない。兎に角嫌なことには違いなかったのだから。


 

読んでくれてありがとう。


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