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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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残念な父親 16

 あたし達は一階にあるサロンに向かった。その部屋は大きなガラスが使われた明るい部屋である。何時ものように綺麗に整えられた部屋は気持ちが良い。働き者のメイド仲間の仕事だ。ちなみにこの部屋を掃除した事は無い。掃除する場所の担当は、それぞれに決められている。確かメイド長のサンドラさんの担当だ。

 奥様が最も長く居ることの多い場所は、基本的にサンドラさんが他に何人かのメイド達を使って、綺麗に整える事になっている。あたしの担当場所は、マリアの部屋と空き部屋になっていた。慣れれば大して時間が掛からない。おかげで、兵隊さん達と遊ぶ事が出来る。他で見ている人間には、熱心に訓練しているように見える。

 あたしの仕事の半分は、マリア・ド・デニム伯爵令嬢の護衛だから、私兵達と遊んでいても訓練の一環と見なされる。お金を掛けて勝負しているだけなのだけれど。戦闘能力の向上と良いわけが出来る。父ちゃんとも会う事ができる良い環境だった。

 真新しいクロスが掛けられたテーブルの上には、今の処は何も置かれていなかった。部屋の隅に、小さなワゴンが置かれている。そのワゴンの上には、銀色に磨き上げられたポットとティセットが置かれている。

「酷いじゃ無いか」

 デイモン・デニム伯爵が、部屋に入った途端句を言い出した。黙って歩いていたけれど、少しばかり足を引きずっている。奥様は容赦なく足をふんだらしい。

「貴方が余計な事を言い出したからですわ」

 奥様が険しい表情で言った。扇で半分隠している。瞳に怒りの光がある。

「失礼いたします」

 侍女のドリーさんが部屋に入ってきた。彼女はニコリとあたしに微笑んでくれる。

 あたしとマリアは、いきなり剣呑な雰囲気に緊張してサロンの隅に立っていた。夫婦喧嘩なんか見たくもないよね。

 それにあたしは、新人メイドなのだから、仕事しなければいけないのかな。あたしは、奥様にお茶を入れて差し上げた事は無かったのである。


 

読んでくれてありがとう。


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