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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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残念な父親 9

 デイモン・デニム伯爵の馬車が邸内に入って来た。護衛の騎兵も馬車を守るように向かってくる。長旅だったので、兵隊さん達の顔にはホッとした表情がある。

 こちら側の使用人の中から、小綺麗な格好を為た男の人が歩み出した。あたしの記憶似ない顔なので、この人はデイモン様の使用人さんなのだろう。普段はあの人が、伯爵様の身の回りの世話を為ているのだろう。そういえば、マリアが伯爵様が帰ってくる知らせが来たと言っていたっけ。

 馬車の御者席には、武装した兵隊さんが乗っている。王都からの道程はそんなに危険なのだろうか。確かに時々は、山賊が出たりするらしいけれど。こんなに護衛が必要な場所では無かったはずで、どこまで恐がりなんだろう。命を狙われるような立場でも無いだろうに。

 王都へ向かう大きな隊商が、護衛の傭兵を連れていることはあっても、時々は荷馬車一台で向かう者も居るくらいなのである。まあ、一応は伯爵様だから、身を守られる立場なんだろうけれど。奥様を見ていると、重要人物とは言えないよね。

 あたしがそんなことを考えながら、ぼーっとしている間に。馬車が庭の中をゆっくりと進んで、あたし達の前に止まった。見えるようになってから、随分時間が掛かった。何だかもったいぶっているように感じられる。待っているだけで、かったるいのだけれど。

 あたしの隣に立っているマリアは、あんな処を見てしまった後にもかかわらず、心の底から嬉しそうに、ニコニコしている。彼女の向こうに見える奥様は、大きな扇子を口元に当てているので、表情を見ることが出来ない。その瞳には、何か怖い物が潜んでいるような気がする。決して喜んでいるようには見えない。

 あたしの中には、日本人が混ざっている。この世界の人は、口元さえ見られなければ感情を読まれない。そう持っているらしい。でも意外に目元に感情が見えることがある。日本人は、目元さえ見えれば相手の感情を読むことが出来る。特に女はそう言うことが出来るのだ。

 周りを囲んでいる騎兵達が、一斉に馬から下りた。そのタイミングでデイモン様の使用人さんが、馬車の扉を開けた。金髪の一山いくらの中年男性が出てくる。その容姿は綺麗だけれど、何処か胡散臭い感じのする人物だった。

 少なくとも今のあたしの好きなタイプでは無いな。スチルだとすてきなおじさまに見えていたのだけれど。実物はそうでも無い。動くとなんか違う。

 

読んでくれておりがとう。


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