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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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大人達のお茶会 5

 エディは紅茶を飲みながら、誘拐事件が決して悪いことではなかったのだなと、しみじみ思った。なんと言っても可愛い教え子が楽しそうに為ている。それだけで、心が温かくなってくる。

 アリス・ド・デニム伯爵夫人との付き合いは長い。だから、彼は彼女が獣腹と言われて双子の片割れを捨てた経緯を知っている。その時にあった、デニム家の中であった下らない争いについても。

 デニム伯爵の領地は、この国の要衝となる土地である。なんと言っても、隣の大国との国境なのだ。そして、唯一弱い腹の部分となる場所で、この領地を抜ければ真っ直ぐ王都に至ることが出来る。もしも隣国が、攻め寄せてくるのなら、間違いなく館のある領都を落とさなければならない。デニム伯爵家の女傑を打ち倒すことが出来れば、労せずして王都を脅かすことが出来る。

 エディは、あの誘拐事件は隣国の破壊工作の一環だと思っていた。もしかすると、ディモン・デニム伯爵が裏に居るのかも知れない。その可能性もあるのだろう。考えすぎかも知れないのだが。

 双子の片割れを見付けることが出来たのである。しかも、詭弁を弄してではあるけれど。もう一人を手元に置くことが出来ている。遣りようによっては、奥様は取り戻すことが出来るかも知れない。そうなれば、誘拐を引き起こした者にとって、不都合かも知れない。其れは此方にとって目出度いことである。

「ディモンが帰ってきますわ。彼が何を思って帰ってくるのか、私には思い至る処がないのですけれど」

 彼女はニコニコと笑いながら言った。手には少しの不機嫌が現れている。

「どのように仰っておられるのですか?」

「新参の使用人の顔を見たいと言ってきておりますわ。此れまでそんなことを言ってきたことはありませんけれど……」

 ディモン伯爵は奥様に心底嫌われている。本当は顔を見たいとも思わないのだろう。出来れば離婚したといところだろうけれど、其れは出来ない相談だった。




読んでくれてありがとうございます。

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