大人達のお茶会
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ナーラダのリコとマリアが、以外だが真面目に試験の答案用紙に、解答を書き込んでいる部屋の西隣の小部屋に、この領都の主であるアリス・ド・デニム伯爵夫人の姿があった。彼女は娘が、家庭教師に勉強を学んでいる間。何時も隣の部屋で執務をすることが習慣となっていた。
この部屋も大きなガラス窓が設置されているので、庭の景色もよく見えるし、日の恵みもふんだんに入ってくる。そして、何時ものように護衛件メイドのジェシカ・ハウスマンが、部屋の隅で小テーブルでお茶の用意を為てくれている。
エディ先生は、抜き打ちで試験を為てくれているはずで、その間にナーラダのリコの、学の進捗状況を知らせてくれることになっている。彼女が平民として育てられたにしては、かなり優秀だと言うことだったので、出来れば二人そろって王都の学校に入学させたいと考えていた。
アリスは、ナーラダのリコが自分の娘だと確信している。どうにかして、ハーケンから彼女を取り戻したいと考えている。
貴族の権力を振るえば、ナーラダのリコをハーケンから取り戻すことが出来るかも知れない。しかし、其れを為たら間違いなくリコに嫌われる。此れまでの付き合いで、彼女の性格を把握している。一度嫌えば決して元には戻らない。無理をすれば嫌われてしまう。其れは出来ないことだった。
マリアより、リコの方が性格的には自分によく似ている。そう思っているのだ。
リコはマリアの姉妹だと言うことをしらないはずで。もし、その事を知ったなら、伯爵夫人のことをどう思うだろうかと思うと、当時のことを話すことが出来ないで居たのである。
仕方が無かったとは言え、生まれてばかりの赤ん坊を森の中に捨てたのだ。其れを命令したのは、今は無き先代だったのだけれど。それでも、母親である彼女が守ることが出来なかったのは事実で。その事情を理解して貰えることが出来なかった。
ナーラダのリコが、自分から娘に戻ってくれるようになって欲しいと思っていた。のちろん、そんなことは、あり得ないことだと言うことは解っている。
扉をノックする音が、アリスの意識を現実に引き戻した。エディ先生がやって来たのだ。
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