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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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十三歳の春 13

 あたしの部屋は、所詮は使用人用の物なのでとても狭い。ベッドや箪笥を置けば一杯である。その上、弓とそれの整備するための道具くらいしかない。それでも、身の置き所がないほど手狭になっている。

 今日着る予定のドレスは、この部屋に用意されていない。だいたい、使用人部屋のような小さな空間には、あの嵩張るドレスを保管することなど、出来るわけが無いのだ。

 この使用人部屋とつながっている、今は使われていない空き部屋に保管されていた。そちらにはマリアの寝室にそっくりな寝室があった。

 其処のクローゼットに、あたしは奥様に押しつけられたドレスを保管するようにしていた。実際マリアの振りをしたのは、此れまで二回しかやっていなかったので。ほとんど袖を通すことのないドレスが並べられている。どちらかというと、貴族としてのマナーを学ぶための授業の時に、袖を通すくらいしかなかったので、あたしはもったいないと思っている。

 奥様があたしの正体に気付いているんじゃないかと思ってる。たぶん気付いてるんだろうな。でも、あたしに言ってこないってことは、何か思うことがあるのかも知れない。

 あたしが捨てられた事は知っているけれど。そのあたりの事情についても知っているけれど、だからといって、貴族令嬢になりたいとは思っていないしね。

 悪役令嬢になりたくもないので、このまま戦うメイドに止めておきたいと思っている。もっとも、とうちゃんが貴族令嬢になるのを承諾するわけがないけどね。

 ゲームの中の父ちゃんは、デニム家に対して恨みを持っていたから、積極的に隣国の陰謀に荷担していたみたいだったけど。今はそんなこと考えたりしない。そうなるように、あたしは頑張ったのだ。

 ゲームの父ちゃんの表情と比べて父ちゃんの顔は、剣のないいい顔をしている。あたしはそう思う。だから、父ちゃんがマリア・ド・デニム伯爵令嬢の救出に協力してくれたのである。

 マリアのことを助けるのには、父ちゃんはあまり積極的に賛成してくれなかった。なるべくデニム家と関わりたくなかったみたいである。

 どうも父ちゃんは、貴族に取り込まれることを心配しているみたいだ。実際、取り込まれてしまったのかも知れないけれど。上手く躱していきたいと思っている。

 普通にメイドを遣っているくらいなら、取り込まれたとは言えないだろう。まあ、やばくなったら逃げれば良いしね。

 最近のあたしは、結構マリアに対しても姉妹愛じみた感情が湧いてきていた。出来れば、彼女が悪役令嬢にならないようにフラグを折ってやりたいと思っている。

 あたしのフラグは、マリアを助けたことで盛大に折ってしまっているだろうけれど。此れで、マリアの処に悪役令嬢のお鉢が回ってくることに成りそうなので、それもへし折っておいた方が良いかもしれないと、思うように成ってきていた。

 もしも、シナリオの修正力が働いて、マリアが悪役令嬢に成って。隣国の陰謀に乗ってしまったら、この国がなくなってしまう。



読んでくれてありがとう。

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