十三歳の春 7
乙女ゲームのお約束として、貴族の子供達は王立ランドバルト学園に入学することが義務づけられている。その建前は、時代を支えることになる人材を養成すると言うことになっているのだけれど。実は地方貴族の動きを縛るための人質である。そして中央に対する忠誠心の高い者を、作り出すのが目的なのである。しかし、その意図は成功していなかった。
何しろ、国に対する忠誠心は皆無とは言わないけれど。決して高くは無かったのだから。貴族としての教示って奴を、持ち合わせている者は決して多くなかった。だから、貴族の子供だからと言って、国の危機に出来たことは、自分が逃げおおせるように動くことだけしか出来なかったのだから。
マリアの居間に入って、西側の壁には寝室のある部屋に通じる扉がある。あたし達は二人して、彼女の寝室に入って行く。
マリアの寝室は、貴族令嬢としては当たり前に。天蓋付の綺麗なベットが、部屋の真ん中に鎮座している。ちなみにあたしの部屋に向かうことの出来る扉が、ちんまりと用意されている。よく見ないとそれが扉とは見えないように偽装されているので、この部屋の人間でないと解らないようになってるけどね。
ちなみにマリアが今日着る予定のドレスは、昨日のうちに用意されている。彼女が着る服の担当はあたしではない。服飾のセンスのあるメイドの仕事になるのだ。
あたしの仕事は、基本的にマリアの護衛の性質の方が大きかった。だいたい、田舎のねーちゃんでしかないあたしが、貴族令嬢の着る服に何か言えるわけがないのだ。
兎に角丈夫で、動きやすければオールオッケイだとかんがえているあたしが、チョイスするならメイド服や胴着にズボンになってしまう。貴族のご令嬢が着るようなドレスは、動きづらくて仕方が無い。
前世でも、ジャージを着ている率が多かったのは内緒だ。
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