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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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20/1216

本当の事は言えないよね

ブックマークありがとうございます。


 ナーラダ村は比較的裕福な村だ。村の規模もそれなりに大きく、村の西側を運河が通っており。水車小屋が建っている。この水車小屋は、デニム伯爵が管理している粉碾き機が設置されている。

 運河から、水を引き込むことで畑に水を行き渡らせることも出来るため。絶えず豊作とまではいかないが、食べるに困ることは無い。ジェイソン・ド・デニム伯爵の領地経営は今のところ上手くいっている。良い領主と言って良いだろう。

 あたしとボルグは二人連れだって、村の賢者様の庵に向かう。本当は、あたし一人で賢者様の所へ挨拶に向かうつもりで居たのだけど、ボルグの奴が付いてく行くって、言うことを利かなかった。収穫の準備で、村の衆は忙しいはずで、村長の次男だって、仕事は沢山有ったはず。

 道から垣間見える、家の庭先では農具の手入れをしている家族の姿があった。そこでは大人も子供も、等しく仕事をしている。喧嘩をしたり冗談を言い合ったり、軽いリズムの民謡を歌ったりしている。その様子から、今年は豊作なのだ。楽しくて仕方が無いのだろう。

「こんちは。リコちゃんまたボルグと一緒かい。なかがいいねー」

 アガサおばちゃんが声をかけてくる。黒髪に黒い瞳が印象的な、中年女性である。話し好きで、いつもあたしをからかってくる。

 あたしの隣を歩いていた、ボルグの顔に嫌そうな表情が傾けれど、すぐににこやかな表情に切り替わる。この人が知ることは、次の日にはみんなが知ることになる。嫌われたら、村での生活はやりにくくなるのは明らかだった。

「リコちゃんが、領主様の所に奉公に入るって言うからさ。しばらく会えなくなるかも知れないんで、出来るだけ一緒に居たいと思って」

「そうなんだ。あたしはてっきり、村長さんのところで働くんだと思っていたよ。ボルグちゃんも残念だよねー」

 それほど残念そうでも無く、アガサおばちゃんは言った。

「なにが」

「だってリコちゃんは、文字も読めるし書くことも出来る。計算だってお手の物だ、これだけの物を持ってる村娘は中々居ないよ」

「だから、領主様の所に奉公の話が振ってきたんだろう」

 本当に楽しそうに、アガサおばちゃんは言った。明日には、みんなが知ることになるんだろうな。

 


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