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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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食事会の後で 2

 はたして天蓋付のベッドに、マリア・ド・デニム伯爵令嬢は大人しく寝ていた。不思議なことに、伯爵令嬢が寝ている天蓋付のベッドとは他に。少し小さめだけれど、予備のベッドが用意されている。そのベットは既に布団が敷かれ、いつでも寝ることが出来るようになっている。

 普段あたしが寝るのに使っている、藁のベッドとは違い綿を使った布団は、本当に寝心地が良さそうだった。やはり貴族様ように用意される、寝具は全く違う。前世の寝具とは比べることもできにぐらい差があるのだけれど。

 色々と、この世界にある品物と比べると性能が段違いなことに気がついても、所詮馬鹿な不良娘には、便利な品物を生み出すことも出来ない。前世で読んでいた、ラノベの登場人物のように、画期的な商品を作り出すことも出来ない。唯一、父ちゃんに話して作って貰った、剛弓くらいしか生み出していない。

 あたしの持っている物作りの知識が、対して無かったことが大きいのだけれど。まだ高校生だったあたしの頭の中には、たいした知識が入っては居なかった。兎に角死なないようにするだけで一杯一杯なのだ。リアルは生きることだけでも大変なことなのである。

「ご苦労様。とりあえずそのドレスを脱いでしまいましょう。流石に貴方もそのドレスを着ているのは辛いでしょう」

 ドリーさんが、ニコニコしながらあたしが着ているドレスを脱ぐのを手伝ってくれようとする。その手慣れた動きに、あたしは思わず任せてしまいそうになる。

「え……。あたし一人で脱げますから、聞くのを忘れていたんですけど。あたしの寝るところはどこですか?」

「大丈夫。このドレスは、一人で脱ぐのには少しばかり難しい作りになっているので、私が手伝いますわよ」

と、ドリーさんが言った。

「手伝って貰って脱ぎなさいよ。全く、少しでもその服を破いたら許さないからね」

 天蓋付のべっだの中から、伯爵令嬢の声が上がる。その声はかなり元気になって居るみたいである。

「貴方の寝床は、このベッドよ」

 ドリーさんが、予備のベッドを指さしながら答えてくれる。当たり前のことを言っているような声音。そして、やはりニコニコ笑っている。絶対普通のメイドじゃないよね。



読んでくれてありがとう。

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