ドッペルゲンガーの初仕事 25
確定申告の準備が終わりました。アップを再開致します。
結局、村長さんの屋敷での食事会を断れなかった。既に食事の準備が出来ているというのには、此方も頂かないわけには行けなかった。食事の準備が無駄になると言われてしまったら、強く断ることが出来なかったのである。
村長さんの屋敷は、村の中にあって役場の機能も持っている。村長の屋敷は、貴族の屋敷には全く適わない物の、それなりに大きく作られている。少なくとも、何人かは泊ることができる客間が用意されていた。
村長の屋敷の客間に、あたしとマリア・ド・デニム伯爵令嬢は客間に通されていた。天蓋付のベットが置かれている。
そのベットには、マリア・ド・デニム伯爵令嬢が寝間着を着込んで、ベットの上に座り込んでいる。彼女はまだ回復しきって居らず、青い顔をしている。屋敷に泊ることができたのは、良かったかも知れない。
マリア・ド・デニム伯爵令嬢を、村の衆に気付かれないように屋敷に運び込むのに、メイド一同の頑張りが功を奏した。たぶん、村の衆はぐったりしている伯爵令嬢に気付かなかったはずである。
それも此れも、ロジャー・ド・タンドリンさんの意見が通ったのである。なんと言っても、大事なのはデニム家の人間が、約束することが必要なのだ。村人が安心することが大事らしい。
あたしには何となく、こじつけに聞こえたのだけど。そう言う物なのだと考えるしかなかった。
あたしには解らないなんやかやがあるのだろう。
「食事のマナーは解っているの」
と、マリア・ド・デニム伯爵令嬢が聞いてきた。あまり恥をかきたくないのだろう。
あたしが粗相をしたら、笑われるのは彼女なのだから解る気がする。一応簡単に、マナーのレクチャーを受けている。その内容は、前世の食事のマナーとほぼ変りが無かった。その上、賢者様に教えて貰った、社交のスキルで十分騙し通せるだろう。
「大丈夫。あたしはきっちりと仕事を遣ってみせるから」
あたしは微笑んで見せた。心配することはないのだ。何しろ顔だけなら、間違いなくそっくりなのだから。
お疲れ様です。




