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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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ドッペルゲンガーの初仕事 23

「ありがとう」

 あたしは、ロジャー・ド・タンドリンさんの手に、手を乗せて馬車から降り立つ。マリア・ド・デニム伯爵令嬢の身代わりとして、村の衆を元気づけることで、まずは給料分の仕事を行うことにしよう。

 マリア・ド・デニム伯爵令嬢が、公務をすることが出来ないのは今日だけなのだから。今晩だけ村の衆を騙し通せば、皆が安心する。それだけで、あたしのお仕事が成立する。

 ホール村の村の衆が、ニコニコと笑いながら、あたしを迎え入れてくれる。中には、半泣きになっているおばあちゃんなんかが居る。

 今だけこの人達を騙し仰せれば良いのだ。簡単なお仕事だとは思うのだけれど、これに何の意味があるのだろう。兎に角、ドリーさんがそうすることを決めたのである。

 どうもドリーさんは、単なるメイドではないみたいだなと、今更ながらあたしは気付いた。ロジャー・ド・タンドリンさんに意見を言うことが、出来るメイドは居ないはずで。

「上手く騙し通してくれよ。あんたは貴族並のマナーを身につけているそうだから、お嬢様に恥をかかせるようなことはしないでくれよ」

 あたしにしか聞こえないような、小声でロジャー・ド・タンドリンさんが呟く。

「やれるだけ遣ってみせるよ」

「皆さん。安心してくださいね。デニム家は皆さんを守りますわ」

 あたしは笑い顔を作って、教え込まれた台詞を声にする。

 村の衆からどよめきが上がる。さらなる笑顔を村の衆がかべる。

 あたしの一言が、村の衆が感じている不安をぬぐい去ることに成功した。デニム家の人間が保証することが、必要なことだったのだろう。村の衆は本当にホッとしている様子に、あたしも何だかホッとしてしまう。

「お嬢様良く来て下さった。皆喜んでおります」

と、村長が言った。



 

読んでくれてありがとう。


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