表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

164/1216

ドッペルゲンガーの初仕事 13

「あんたの父ちゃんは本当に心配しているんだ。良いなぁ」

と、リタがぽつりと言った。

「そうかな。結構厳しいところがあるんだけどね」

 あたしは苦笑いを浮かべて、彼女に応えておく。ここまで来るのに、あたしはかなり苦労しているんだと、言葉がのど元までで掛ったけれど。辛うじてその言葉を発することなく済ませる。

 いい大人が奥さん無くして、人生を棒に振るようなことを考えていたときに、何とか道を踏み外さないように、それとなく接したり甘えて見せたりして、気持ちを誘導したのはあたしだ。母ちゃんの最後のお願いだったから、何とかしてみたんだけどね。

 勿論、父ちゃんが悪いことを考えなければ、伯爵令嬢に成り済ますようなことをしなくても済むから、悪役令嬢の役が回ってくることはない。だから頑張ったのだけれど。いつの間にか、あたしは父ちゃんが、好きに成ってしまっていた。父親としてね。

 前世では考えられないことだったけれど、今のあたしには、この血のつながっていない父ちゃんが、可愛く感じられて仕方が無かった。父ちゃんは、死んだ母ちゃんが一番大事なのが判ると、あたしは憧れた。そんなに愛されてみたいなと思った。

 未だに母ちゃんが一番大好きなのが、父ちゃんの良いところだと思っている。でも、父ちゃんと結婚するなんて絶対に口にはしない。なにしろ一番には慣れないからね。死んだ母ちゃんには適わないだろうし、あたしの中では父ちゃんは父ちゃんなのだから。

「とりあえずもう少し掛るから、近くで待っていてくれると嬉しいんだけど」

 あたしを見上げてくるリタに、お願いしてみた。そう言った後に、目線を合わせるのを忘れていたことに気付く。彼女はなんと言っても、あたしよりずっと小さいのだから、そして親を亡くして本当は参っているはずなのだから、気遣いは必要なのだろう。

 だから、父ちゃんは相手して遣っていたんだ。あたしはそっと、屈んで目線を合わせてみた。手遅れかも知れないけれど、遣んないで居るよりは良いだろう。


 



読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ