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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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ようやく追い着いた

 食事休憩から三回ほど休憩を挟んで、あたし達はようやく第二救援隊の尻尾が見えるところまで来た。頭上は未だに明るい。西の空には入道雲が立ち上がってきている。たぶんあそこの真下は雨になっているだろう。

 流石の軍馬もそろそろ疲労の色が見える。かく言うあたしもくたくただ。父ちゃんの前に縛り付けられている、リタなんかは愚痴る気力も無い様で、前の休憩以降は静に為ている。

 児童虐待なんかには成らないよね。あたしそんなつもりも無く酷いこと為てるわけでは無いよね。一寸心配になってくる。

 最もこの国には、児童虐待なんて言う概念自体無かったりするんで、気にするように事じゃ無いのだけれど。やっぱり前世の記憶が、日本の常識に引きずられてしまう。熟々ゲームの中で描かれていることは、夢みたいなふわふわした物語だったんだなと思う。

 たとえば、隣村に行くだけでこんなに時間を必要としているなんて、全く描かれていない。勿論ゲームの舞台のほとんどが、王都ないの王立学園の敷地内での出来事だったし、移動は全くと言って良いほど描かれなかった。其処には全く其処に生きている人間の、常識や愕然と存在する現実なんか在るわけが無かったのだ。

「あと少しで追い着くぞ」

「判ってる。少し落とす?」あたし達は速歩でずっと馬を走らせ「続けていた。出来れば夕方になる前に追い着きたかったから、一寸馬に無理をさせていた。後でお礼の人参でも上げようかと思う。喜んで食べて貰えるかは解らないけれど。少なくともこの子を馬たちの中から、見つけ出せるくらいにはなっていると思う。

「ここまで来れば問題なかろう。余裕を持って追い着くぞ」

 父ちゃんはにやりと笑って馬に指示を出す。へばっているリタに自分の水袋を渡す。

「リタ、飲んでおけ」

 リタはこの長旅で、父ちゃんとの付き合い方を学んだのか、それとも疲れてどうにも成らなくなっているのか、大変素直に水袋に口を付けた。あれで、父ちゃんはリタに気を遣ってるのだ。



 


 

いいあめですね。雪にならなければ良いのですが。

ちなみに書いているのは早朝です。

読んでくれてありがとう。


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