一寸休憩
今回時間切れにて、内容は短くなります。
流石になれない馬での旅は、神経を使うし上手く馬の動きについて行けずに、色々と身体を酷使する物らしく。既に足や腰が痛くなってきた。夏の太陽の日差しに肌を焼かれて、更に疲れがたまってくる。のどが渇いてきて、気分が悪くなってくる。
そんな頃合いで、父ちゃんが馬を止めた。
「ここらで少しばかり休憩にする。馬にも水を遣らなけりゃ成らないからな」
父ちゃんは、馬に付けている荷物から、馬用の桶を取り出した。まずは馬に水を遣らなければならない。彼らが動けなくなったら、あたしらが困ることになるのだから、まずは馬が優先される。
「自分の手持ちの水を飲んじまって良い。馬に水を遣ったら御前らの分の水もくんできてやるよ」
そして、父ちゃんは馬上でへばっているリタを、馬上からの荷物のように下ろしてやる。乱暴だけどそれなりに気を遣って居る。あたしの時と全く同じだったから。初めての子育てがあたしだし。あたしは可愛げの無い、餓鬼だったから大変だったろう。
馬から下ろされたリタは、疲れ切った様子で地面に座り込んでしまった。文句もあまり言えないほど消耗しているのだろう。座った姿もぐったりとしている。
父ちゃんは、西の林に入って行く。そちらに秘密のわき水のありかがある。偶然見付けた小さなわき水だったけれど、見付けたのは幸運だった。結構美味しいのである。
あたしの水袋を、リタに足り合えず渡す。既にリタの分は、彼女が全部飲んじまっているはずで、今は飲む分が無かったはず。
それくらいは、いくらあたしでも把握している。兎に角飲まなければ居られなかったのだろう。精神的な負担は相当だったろうし、なんと言ってもまだ子供なのだから。
読んでくれてありがとう。




