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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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面接 2

読んでいただきありがとうございます。

 一階部分で最も広い部屋で、公爵夫人とあたしらの面談が執り行われる運びとなった。少なくともあたしとニックは貴族相手に対する、礼儀作法なんか出来ない。生まれてこの方、御貴族様なんか話したことも無いのだから。多少のことは大目に見てもらいたい物である。

 公爵夫人と話をするために、用意された部屋は、前世の記憶のあるあたしのイメージだと、大きな会議室的なところの窓に、真新しいカーテンで見場を良くした部屋だった。大きなガラス窓から、中庭を眺めることが出来るようにしてあるけど、今回は中を見られる事が不味いのだろう。今回のことは、醜聞には違いなかった。いろんな意味で、マリア・ド・デニム伯爵令嬢の誘拐事件は、誰にも知られてはいけない事柄には違いない。

 父ちゃんは、いつもの麻の胴着に木綿のズボンを着て、少しばかり緊張しているみたい。武器になりそうな物は身に纏ってはいない。そんな物危なくて持たせたりはしないよね。もっとも、その気になれば素手でも、仕留めることが出来るかも知れない。とにかく体が大きいのだ。

 ドアを開けると、正面には大きなテーブルが置かれており、簡単に近づけないように配置にされている。中央には、デニム伯爵夫人が座り、彼女の右隣には、マリア・ド・デニム伯爵令嬢が泣きそうな顔をして、婦人の手を握っている。

 夫人の後ろには、ジャスミン・ダーリンさんが陣取っている。この人意外に偉いのかも知れない。あまり似合わないが、彼は騎士の格好をしている。腰には細身の剣が下げられている。

「ウェステル・ハーケン久しぶりですね。今回のことにはお礼を言わせてください。娘の命を救っていただけたこと、本当に感謝しております」

 固い声。何か含むところがあるのかも知れない。

「姫様もお変わりなく。大変お美しい。ただ、今の自分はナーラダのハーケンと名乗っておりますので、今後はそのようにお願いします」

 うわー。父ちゃんらしくない台詞に、あたしは吹き出しそうになるのを必死でこらえる。さすがのあたしでも、笑う場面では無いことは判る。

「私の名前は、アリス・ド・デニムと言います。あなたのお名前を聞かせてくださいね?」

 デニム伯爵夫人は、あたしの方を見つめて、何でも無いように訪ねてきた。何となく怖い感じがする。

「わたしの名前は、ナーラダのリコと言います。ナーラダのハーケンの娘です。よろしくお願いします」

 あまり上手い答え方じゃ無い。平民には難しすぎる。


 

 

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