表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/1217

野犬の群れ 6

「まあ、何とか切り抜けたな」

 あたしに追い着いてきた父ちゃんが,声を掛けてきた。少しばかり頬が綻んでいる。リタは未だに衝撃から立ち直ってきていない。まだ彼女はちっちゃいのだから、其れは仕方が無いことだと思う。

 あたしは気の毒に思って、彼女の涙でくちゃくちゃになった顔を覗き込む。犬との格闘の間中、悲鳴を上げ続けていたのは聞こえていた。其れは怖い光景だよね。トラウマに成らなければ良いのだけれど。何しろこの世界には心療内科的物は全くないのだから。あるとすれば、教会の司祭様に懺悔するぐらいしか方法が無い。

「で、何匹仕留めたの?」

と、あたしは何気なく尋ねる。全滅させては居ないだろうと思うけど、それでもかなりの数に成っているだろうと予想する。

「ん。五匹と言ったところか。中々賢い連中だよ」

「手、事は野犬の駆除の依頼があるかも知れないね」

 あたしは何時ものつもりで、此れからの野犬どもの捕獲計画を考え始めて、思わず苦笑を浮かべた。あたしも父ちゃんも今は、猟師じゃ無くなっている事に気付いた。

 この森には居なかった野犬どもだ、どこから流れてきたか知らないが、人間のことを知っている連中は、危険な獣の群れに成る。多く繁殖してしまえば、街道を旅する者にとって、脅威になりかねない。それでも追いはぎよりましだけれども。

 そういった危険な者を排除するのも、あたしら猟師の仕事に偶に、入ることも無くはない。一応は危険な獣のことだぞ。追いはぎのような犯罪者に関しては、出くわしたら対処する程度に止めている。誤解の無いように言ってお行くけれど、あたしはまだ人を殺した事は無い。

 そういった荒事に関しては、父ちゃんとニックが主に担当してくれていた。何が悲しくて、十二歳から人殺しには成りたくも無い。前世の記憶があるあたしにとって、人の命の重みはこの世界の常識とかけ離れている。なんだかんだ言っても、日本という国は平和な場所だったのである。

 あたしは、前世が平和で良いあんばいに緩かったんだなと感じている。戻れるのなら、もう一度あちらに戻りたいと思ったりしているけれど、無理な相談かも知れないなとも思う。また死んだら、あちらに生まれることが出来るとも限らないので、試しに死んでみる勇気は無い。


 

読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ