其れなりには乗馬が出来る。5
アガサおばちゃんに、見送られてあたし達は村を出る。予定通りに、父ちゃんの乗る馬には、ちょこんとリタが乗せられている。彼女を馬に乗せるときに、一寸ばかり手間取ったけれど。今は問題なく乗っている。
乗ったことも無い馬に、いきなり乗せられるのは、小さな女の子には怖い事かも知れなかったのよね。うっかり忘れていたわ。
思えばあたしが、初めて馬に乗ったときも、結構怖かったことを思い出した。ただ、あたしが初めて馬に乗ったときは、彼女より小さかったような気がする。意外でも無いのだけれど、父ちゃんはスパルタな人物なのである。その調子で、弓や剣や乗馬を仕込まれた。さらに読み書き計算までって、あたしに何をさせようと思っていたんだろう。
それでも仕込まれた事は、確実にあたしのために、成っているみたい。この世界に来て、学んだ事が自分の為に成る事を実感している。今更だけど、前世で不良なんか為ないで、色々学んでおけば良かったと思っている。
村を出ると、荷馬車が通れるくらいの道幅がだらだらと続く。その道は、未だに水害の影響で、泥濘んでおり。決して歩きやすいとは言えない状況だった。
あたしと父ちゃんは、良く訓練された軍馬のおかげで、危なげなく進むことが出来る。最初は怖かったのだけれど、馬たちはこういう状況でも問題なく進むことが出来た。ただ、思っていたより速くは移動できそうも無い。今日中に、第二救援隊に追い着くことは出来そうも無かった。出発時刻が遅くなったことに加え、この泥濘を疾走するのは、あたしには無理かも知れないと思ってしまった。少しでも、馬の乗り手が不安を感じたら、馬にも解るので危ないことに成る。
あたしの乗り方を見て、無理をせずに途中で泊ることを考えているようだった。其れも危険ではあるのだけれど、幼児をつれた状態で無理をするわけにも行かないのだろう。
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