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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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其れなりには乗馬が出来る。 2

 一応父ちゃんに、乗馬については仕込まれている。決して上手いとは言えなかったが、12歳の餓鬼にしては上手い方だと思う。前世では、馬なんかに乗る機会など無かった。せいぜいオートバイに無免許で乗る機会があった程度で、前世では馬に触った事すらなかった。

 乗馬を仕込まれてとは言っても、乗っていた馬は荷馬のオウルなので比べものには成らないだろう。オウルに比べると一回り、でかい軍馬だ。しかもお互いに初対面で、意思の疎通が出来ては居ない。そんな奴に身を任せる事は出来ないよね。地面にキスしてしまう予感しかしない。あたしがリタの立場なら、間違いなく遠慮するかも知れない。

 あたしは折りたたんだ毛布を、父ちゃんが乗る馬の鞍の前に、毛布をたたんでリタが乗れるように簡易な鞍をくくりつける。この一工夫で乗り心地がかなり改善される。最悪尻の皮がむけるまであったりするから、この工夫は重要だと思う。つまりあたしの尻の皮がむけた事がある。あの痛みは思い出したくも無い経験だった。

 いくら急いでいるからと言って、あたしらは馬に全力疾走させるつもりは無い。実は、あたしは軍馬を走らせ続ける自信は無い。馬はなんてこと無いかも知れないが、乗り手であるあたしが参ってしまう。だから、速歩で移動することにしている。其れだって、第二次救援部隊に追いつくことが出来る。

 何台もの荷馬車を引き連れての移動だから、決して速く移動できるわけが無い。だから、今から出ても追い着く事は、それほど難しくは無いだろう。楽だとは思わないけれど、暗くなる前に第二次救援部隊に追い着く事が出来る。

 リタがあたしの顔を、眼をまん丸にして見上げてきている。珍しい物を見付けて時の、子供の目の動きだ。

「あたし派が断ったら、リコねーちゃんは怒り出すと思ってた」

「そんなことでいちいち怒ったりしないよ。こう見えて大人だから」

 あたしがそう切り返すと、リタはクスクス笑った。

「大人だって怒るわ。あたしのかーちゃんは怒り出すもの」

「それにあたしより。父ちゃんの方が乗馬は上手いから、仕方が無いとも思うしね」

 あたしは心の底から、そう思っていった。下手な乗り手の後ろになんか乗ったら、痛い目に遭うのが明らかだから。ノリでの二尻は危険なのです。

済みません。実は左目を怪我してしまいまして、一寸辛いので明日は休ませて下さい。

視界の中に黒いぽっちがある。左半分の顔が痛い。


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