我儘娘のお願い 2
妻を失った衝撃は、ことのほか大きく。ハーケンは、。兵士としてすらも使い物に成らなくなった。少し可笑しくなっては居たが、妻の存在はとてつもなく大きく。生きる気力を失っていた頃、どこから湧いたのか、妻を失い娘を失う原因として、デニム家に対する憎しみが湧いてきた。そうなると、護衛騎士など遣っては居られない。
彼は騎士の爵位を返上して、ただの平民に落ちることで、デニム家との縁を切った。そして、ナーラダ村に移り住んで、この土地に根を張ることに成った。その時に面倒を見てくれたのが、村の賢者殿だった。
本当なら、行方知れずのままの賢者殿を見つけてから、出発したかったが、仕方が無い。もしかすると、下流域にまで賢者殿の死体が流されて居るかも知れない。そう思えばこそ向かう気にもなる。
リコはまるで母親を失ったことをきっかけに、いきなり大人に成ろうとしているように見えた。貪欲に周りの人間から、多くの知識を吸収しようとして、確りしようとしているようで痛ましかった。
リコが自分の母親を失った事で、急いで大人に成労としている。そして、彼との付き合い方が変わってくる。
ハーケンの暗く狭められた、視野を開かせることに成功した。その時に、妻のために養っているだけの娘では無く。大事な家族に感じられるように成った。
それからのリコは、幼児とは思えない速度で、多くの事を学び取り。読み書き計算はもちろんのこと、弓の扱いや剣やナイフの扱いも並以上には成った。その上、突飛では有るけれど、道理に適った知恵を出してくる。
ハーケンは、やはり血筋と言う事なのかとは思う。この領地を治めているデニム家の血は、平民の其れとは異なるのかも知れない。だからと言って、貴族に返してやる気はさらさら無い。今回は、彼女が伯爵令嬢を助けたがったから、ハーケンも協力して遣ったまでのこと。本当は関わりたくも無かった。
リコをデニム家に取られてしまうのではないかと、心配しているのだ。貴族という生き物は、平民の都合など考えない。そう言う勝手な生き物なのだ。
読んでいただきありがとうございます。




