表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1209/1215

食事会は踊る 2

 店の者の挨拶が終わると、あたしたちの護衛の者や側仕えの者が呼ばれて店に入ってくる。ジェシカ・ハウスマンさんなんかは真っ先に入ってくると、あたしの隣の席に案内されてくる。今日は張り切っているのか、いつもと違った香水の香りをさせている。

 ちなみにエンデ・ガルバドス君の隣には、身なりのいい青年が座る。彼の名は、トム・クォウル。見た感じ、エンデ・ガルバドス君とは同年代に見えるから、かなり近しい間柄なんだろう。黒髪を短く切りそろえており、顔つきも整っているから、意外に持てるタイプだと思う。

 ただ、所々に白髪が混じっている。その白髪があることから、けっこうな苦労人なのかもしれない。

 この店に入る事が出来た、あたしのための護衛は、チッタとニッコリの二人だけだ。それ以外は、店の外で待つ事に成っている。ガルバドス家の護衛の兵隊さんは、四人が入店を許されている。

 みんなも一緒に食事が出来ればいいのに、そうは思うのだけれど。立場的にそれは叶わないのだろう。兵隊さん達は、お仕事の真っ最中で、あたしたちと同じように食事を摂るわけにもいかない。そのあたりは仕方が無い事だ。

 主人と一緒に食事が出来る訳が無いのは、使用人も同じ事だ。あたしみたいな、メイドなんかはそれこそ食事をしているところですら、主人に見せることは禁じられている。ちなみに、最初にメイドとして、お屋敷に上がった時に、メイド長から、うんざりするほど聞かされている。

 昔のあたしが十三歳の頃に言われたら、間違いなく反発していただろう。彼女が言ってきた、メイドの心得なるものは、昔の常識に照らし合わせても、信じられないほど理不尽な物ばかりだったから。それでも、田舎の暮らしよりは大分楽にもなるし、上手く遣って行くしかない。

 何しろ、この世界の生活は生きるだけでも、しんどいものだったから。それよりは、心配しなければ成らないものが少ないし。うまく立ち回れば、悪役令嬢マリアが誕生しないうえに、さくら色の君に・・・の世界を覗く事が出来るかもしれないなんて、甘い考えを持ってしまったんだよね。

 覗く処か、今ではなんちゃってマリアなんて役回りが回ってくる始末。逃げ出したいのは山々だけれど。そうも行かないのよね。

 今のところ、悪役令嬢マリアはいないけれど。どうも彼女が、戦争の引き金をひいたって訳でも無いってことが、分かってきたからね。意図的にあの戦争が起こるように、仕向けられていたんじゃないかって、思うようになってきた。

 マリアさえいなければ、王都が戦場に成るような事は無いって思っていたけれど。大きな考え違いだったみたいなんだよね。どちらかっていうと、これまで起こっている事は、誰かが企て居るのかもしれないって思うようになってきた。

 此のままほおっておくと、二年後には侵略戦争が起こってしまう。そうなると、あのゲームの背景だって思っていた事が起こってしまう。そうなったら、今あたしの前で、緊張しながら煮込み料理を食べている人も、どうなってしまうか想像できる。

 この砦の一家全員と奥様の首が晒される事に成る。それからは、悲惨な侵略が行われる。当然、あたしの村の衆だってどうなるか分からない。帝国が侵略戦争を仕掛けられないようにすれば良いのだけれど。如何したら、諦めさせる事が出来るのか、今のあたしには皆目見当もつかなかった。





 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ