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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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公務と書いてデートと読む 11

 エンデ・ガルバドス君の表情が、だいぶ陰ってきてしまった。公務なんだから、こういった質問は当然の事だと思うのだけれど。この人は何を期待していたんだろう。まさか本当に、デートの積りで居たんじゃ無いだろうな。年齢を考えれば、期待していることは何と無く理解もできるのだけれど。

 あたしはここに遊びに来ている訳でも無いのよね。あんまり遊んでいると、二年後にはこの町は帝国の、支配下に成ってしまうかもしれないのだから。しかも、あの国の方針として、あたしらみたいな民族は神を蔑ろにしている、悪しき民族だって考えているのだから。

 乙女ゲームさくら色の君にの、登場人物の中で、帝国のえらいさんがいるのだけれど。真実の神の祝福を受けていない、あたしらは人間ですらないらしいから。奴らの目には、邪悪な獣でしかないらしい。あいつらに殺されることこそが、慈悲であり祝福だそうだ。

 よくもまあ、こんな設定が許されたものだ。餓鬼だったあたしにとっては、気になるような事でもなかったから。深く考えもしなかった。

 その台詞を言っていたのは、ほどんど顔を出さないモブとしか考えられない人物だったから。スルーされてしまっていたんだろう。

 さくら色の君に・・・っていうゲームは、あたしは面白かったんだけれど。あんまり受けたりしなかったから、だれも気にも留めなかった。乙女ゲームを手に取るような子は、甘酸っぱい恋愛模様を楽しみたいわけで、そんなハードなリアルなんかいらないんだ。そういう意味で、このゲームは続編も作られなかったし、あたしが不良しているころには、制作会社はどこかの大手ゲーム会社に、吸収されたらしい。

 実際、作るゲームのほとんどがどこか外していたし。乙女ゲームの設定に、リアルな現実が、所々あったからね。乙女ゲームを手に取るような子が、どこか歴史を垣間見ているような、ゲームをクリアしたにもかかわらず。後味がどことは言えず悪かったからね。

 人を斜に構えて、見ていたあたしには、はまったけれど。同級生の間では、あまり話題にもならなかった。

 本当に小さかった時に、昔の事を思い出した時には、心の底から絶望したってことは内緒だ。まさか正真正銘の、悪役令嬢どころか、王国そのものを終わらせてしまう女に成ってしまうとは思いもよらなかったからね。


「そろそろ食事にでも行きましょう」

「え、はい。そういたしましょう」


 考え事をしながら、エンデ・ガルバドス君の説明を聞いている振りをしていたものだから、覆わず慌てて答えてしまった。これまでの説明が、記憶されていない。説明の内容を聞かれるような事はないと思うけど。

 エンデ・ガルバドス君にエスコートされて、あたしはガルバドス家の、息がかかっている宿に案内された。彼の言うのには、まともな食事ができる店がここだけしか無いそうで。

 護衛を含めて、側使いの人を含めると、十五人の大勢さんだから、全員が食事をするのには、かなり無理があるのかもしれない。ちなみに、宿は二件だけしかなかったりする。つまり、高級ホテルと安宿だけってことだ。






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