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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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公務と書いてデートと読む 8

 領都ガルバは、人口四千人程度の小都市だ。周りを堅固な城壁に囲まれている為に、人口がそれほど大きくなる事が無い。

 おもな産業は、ブドウや小麦が主な収入源だ。この辺りの平民の生活を支えているものは、いわゆる農業が最も大きい。人口二百人前後の村は二百を超える。領民の数でいうなら、マッキントッシュ卿の支配地域よりも多い。領都の規模だけは、かの地よりは劣る。

 ガルバドス家が支配している人の生活圏は、土地の広さに対してそれほど大きくはない。そのおかげで、帝国と隣接しているとはいえ、人が支配している土地としてはかなり離れてもいる。

 いわゆる国境線は、隣の帝国の支配地域に向かうのに、馬を走らせても、まる一日はかかってしまう。その距離はどちらの目も届かない空白地帯に成っていた。この緩衝地帯のおかげで、無用な争いが起こらないで済んでもいる。

 それでも、この空白地帯に兵を隠そうと思えば、決して難しくもない状態だ。どうしたって、監視の出来る場所は限られてしまうのだから。

 もちろん、この空白地帯は安全な場所ではない。誰にも管理されない、危険人物や多くの獣が生息している。それどころか、平民の間で怪物の噂が絶えない場所でもある。

 あたしは、噂は単なる眉唾物だと思っている。何しろ、あたしはこれまで怪物らしい怪物に出会っていなかったのだから。あ、もちろんこの間出くわした、夜目が効く虎の気配をまとっている怪物君は別格だ。あれは単なるいかれた人間でしかないからね。

 あれを怪物扱いするなら、あたしまで怪物って事に成ってしまうから。あくまでも器用な才能を持った人なんだ。


「マリア様…領都が見えてきました」


 ジェシカ・ハウスマンさんの潜めた様な声が、あたしを現実に引き戻してくれた。馬車馬の軽快な歩む音が聞こえてくる。馬車の移動に伴う、揺れが意外だけれど、心地良い刺激に成っていた。

 スプリングの無い馬車の割に、それほどきつい揺れが無い。領と砦の間の道は良く整備されているのだろう。よく見ると、道には全く草が生えていない。もしかすると、領都と砦の間に、石畳でもしているのかもしれない。

 あたしたちは、領都へ向かう道を使わず。直接向かう事の出来る道を通ったから、整備されている道に気付かなかったのかもしれない。此の整備された道は、いち早くお互いに援護の戦力を向かわせることができる。そのための動線に成っている。


「ありがとうジェシカ。少しぼーっとしてしまいました」


 ジェシカ・ハウスマンさんにお礼を言うと、彼女は小さく首を振って、エンデ・ガルバドス君の方に視線を向けた。


「昨夜はよく眠れなかったのですか」

と、エンデ・ガルバドス君が尋ねてくる。


「昨夜は少し考えごとをしておりまして、眠れなかったものですから」


 どうやら、あたしはちょっと眠ってしまってたようだ。馬車に乗り込んでから、記憶が所々曖昧になっている。マッキントッシュ邸で大分無理をしすぎたみたいで、今になって疲れが出てきたみたいだ。

 それでも、あたしは自分で言い出した、公務には違いないし。あたしの体調不良で中止に出来る訳もない。頑張ろうと頬に軽くあてた。他人の目が無ければ、たたいた居るところだけれど。さすがに、マリアはそんなことしないからね。





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