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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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公務と書いてデートと読む 3

 朝食を終えて、だいぶ日が高くなってきたころ。あたしに割り当てられている貴賓室に、先触れとしての側仕えの中年男性が、扉の戸を叩いてくる。この辺りから、今日の公務がおっぱじまるわけだ。

 正直面倒だと思うのだけれど。デニム家にとって、非常に重要な関係らしいから。そのあたり気を使わなければ成らないのかも知れないけれど。本音を言えば、あんたなんか、相手にされていないよって、言ってあげたいような気がする。

 何しろ、あたしに彼のことを、マリアに話をされた事がなかった。気になっていたら、どこかで話題に成っていないと可笑しいからね。以外にも、マリアはあけすけに話をしてくれる関係になっていたから。

 結婚を考える様な関係の人がいるなら、あたしに話をしてくれていると思うんだ。こっちに行くことが分かっているから、彼女がエンデ・ガルバドス君の噂くらいはして居る筈で。それがないってことは、丸っと記憶のかなたに投げ出しているに、違いないのだから。

 何しろあたしの性格だから、穏便に事を運ぶのは難しい。其れは判っていると思うしね。そこの所を話しておいて貰わないと、どこでぼろが出るかわからないのだから。

 あたしは後で、マリアの奴に文句の一つも言ってやることにして、頭の中にメモを取っておく。そうしておかないと、ちょっと忘れてしまいそうだ。あんまり頭が宜しくないあたしにとっては、この遠征で知った事は、結構やばいことだと思う。

 忍者コマンドし放題。其れも半ば成功している状態で、このまま放置するなら。2年後にはこの砦が落ちる。

 乙女ゲームさくら色の君に・・・で語られている。マルーン邦の悲劇が起こってしまう。奥様がその時に、この砦に居ない様にする事はできる。ナーラダ村の衆を非難させる事も、難しいかもしれないけれど。できないことはないだろう。

 でも、それではダメなんだってことも、あたしは何と無く判る。其れじゃ、いずれは王都まで攻め込まれてしまうだろう。

 王都で、悪役令嬢マリアが引き起こしたことは、帝国の侵略に有利に働いていただろうけれど。彼女はこんなことをおこそうとしていた訳じゃない。単純に、嫉妬と妬みが大きな原因で、引き起こしたことがとんでもない大事に成ってしまっただけだ。

 不幸なことは、悪役令嬢マリアには大事を引き起こすだけの、権力がそろっていた。其れだけの話なんだよね。最後には、ヒロインちゃんがどのマルチエンディングを迎えても、悲惨な最期は変わらないんだけどね。こういった最後は、あのゲームの中では、描かれてはいないけれど。流れから想像できるようになっているから。あたしは何が何でも避けたいと思っているけれど。

 あたしの代わりにマリアがその立場に立つのは、彼女を知った今では頷けないのも本当なんだ。王都まで、マリアと一緒に行くか。其れとも、侵略者たちから、皆を守る手立てを考えるか。

 乙女ゲームさくら色の君に・・・と違うのは、マリアは生きているし。あたしは彼女の専属メイドをやっている。何より、悪役令嬢マリアを裏で煽っていた、父ちゃんはマルーンの私兵団にいる。あれで、昔の父ちゃんはとんでもなく強かったらしいから。それが、敵に成っていないだけましじゃないかな。


「リコ・・・大丈夫」


 心配そうに、サリーさんのが声をかけてくる。梳りが終わり、サリーさんの腕には大きな丸い手鏡が抱えられている。この手鏡は、この屋敷の備品の一つで、なかなかゴウジャスな飾りが施されている。実用には適さないとは思うけれど。そのあたりは仕方がないことなんだろう。


「うん。大丈夫。少し考えごとをしてしまったわ」


 さて、これから気合を入れて公務をこなさなければいけない。多少退屈なことだから、途中で眠ってしまわないようにしなければならないだろう。


 



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