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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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ある意味聖地巡礼 6

 改めて見上げると、この砦はかなりの規模だ。流石にデイロウの御屋敷よりは規模が小さいけれど。十分、城と表現できるくらいの物だ。因みに、デニム家の御屋敷は、呼び名こそ御屋敷となっているけれど。立派な城そのものだ。併呑された、都合で呼び名が、普通の屋敷となっているだけで、盟主国となった国を仮想敵国とした、防衛の要の一つになっている。彼処は、其れこそ3つの出城に守られた、堅固な戦城には違いない。

 これはファンデスクで知ったことなんだけれど。今の国王は、マルーンのことを恐れている。だから、こう言った教育機関を使って、マルーン邦の貴族達を把握しようとしてるらしい。王都に呼ぶことで、事実上の支配者に対して、従順になるように、教育を施そうとしている。

 だからと言って、其れが上手く行っていたわけでも無くて、悪役令嬢マリアのように行動する者も居て、実際国を帝国に蹂躙されたんだけれどもね。

 こうして、マルーン邦の領主たちの様子を見ると、これって帝国の間者による破壊工作が功を奏しているんじゃ無いかって思うのよ。

 国が決めたように、従順に行動する者ばかりでは無く。自分で決めて、政策を行う。元々、貴族達はあくまでも地方の豪族でしか無くて、時の権力者たちとの契約が有るだけで。互いに何かあれば、簡単に契約は破棄される。そこに事の善悪を定める、絶対的な存在が存在しない以上。何があっても不思議でも何でも無い。

 勿論、あたしの前世に生きていた世界では、中世の頃には道徳の代わりに、宗教があった。あれに変わるような宗教はあるけれど。其れだって、各々信仰は違ってるから、決して信頼に値する物でもない。

 王都で信じられている宗教だって、恐らく帝国に敗れれば。帝国の政策の根幹になっている、一神教に蹂躙されることになる。それどころか、民族浄化という執政にさらされて、信じられている神もなにもかもが、奪い尽くされ歴史から失われてしまうことになる。

 何しろ、帝国人が信仰している神は、他の全ての文化も知識も汚れでしかないと教えているのだから。


「其れではご案内させていただきます」


 エンデ・ガルバドス君が、気を取り直したように、微笑みながらあたしの左手側に並んで、作法通りに右手を挙げる。掌には鍛錬の跡が見える。確かに鍛錬を始めてから、其れほど時間が経っていないのだろうか。あたしの知っている、兵隊さん達と違って、堅く鍛え上げられている物では無い。領主と一兵士とでは、比べること自体あり得ないことだけれど。未だに新兵以下の実力とみた。


「僕もご一緒させてください」

と、アンソニー・ガルバドス君も争うように声を掛けてくる。


 あたしとしては、どちらにエスコートされても、かまいはしないのだけれど。今の処は、お兄ちゃんの立場を優先してあげよう。二人相手なら、きっと可笑しな事には成らないだろうから。

 こうして、兄弟喧嘩を眺めているより。邦が滅びてゆくスチルの場所を見学できるなんて、中々無いことだから。今のうちに見ておきたい物でも有るしね。

 勿論、あたしとしてはあの絶望的な戦争を、起こさせないようにしたいとは思っている。一度起きてしまえば、人の尊厳なんか地に落とされるし。どれだけの人間が、辛酸をなめながら殺されるか判らないのだから。



 


 





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