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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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カテーナ領主夫婦 8

 用意されているテーブル席には、各自の席が設けられている。何処にあたしを座らせるか、其れだけでもこれから、マリアとの付き合い方をどう考えているか判る。そうドリーさんに教えられた。


 まあ、単なる伯爵令嬢のことだ。同じ爵位でもあるし、その辺り考えていたりはしないだろう。


 晩餐に付くのは、あたしを含めて、五人。ガルバドス卿と奥方様に男の子二人。一人はあたしより年上のように見える。もう一人は、一つ年下くらいだろうか。それでも、この二人の遺伝子は濃いらしく。二人とも、あたしよりは背が高い。


 恭しく執事と名乗った、ナイスミドルがあたしを席に誘導する。他の人達は、自分で判っているせいか、実に気軽に席に着こうとしていた。家族の晩餐にお呼ばれしている立場なんで、なにも言えないけれど。あたしの左隣には、長男のエンデ・ガルバドスがにこやかな笑顔を向けながら、陣取った。でもって、あたしの右隣には、次男のアンソニー・ガルバドスが興味津々という顔のまま、あたしの方を見詰めている。


 ガルバドス家には、後もう一人幼い女の子が居るけれど。流石に、この席に連れてくることは出来ないそうだ。


 この家族だけでの晩餐は、とても有難い。出来れば、勝手に食事をして、寝てしまいたかったのだけれど。流石に、断るわけにも行かないから、素直に食事にお呼ばれする運びになった。


 マッキントッシュ卿の処の、晩餐パーティーよりはずっと有難い。何よりこちとら、長い馬車の旅で、とっても疲れているのに。お酒の出されるパーティをしかも、何処の誰とも判らない人間相手に、愛想笑いを浮かべての社交をしなければいけないのは、正直しんどい。


 それに、出されている料理も、だいたい作り方が判る物ばかりで。味だって、想像できる。テーブル脇にそれとなく置かれた、エールの樽は見なかったことに為よう。嫌いじゃないし、あれくらいで酔っ払うようなもんでは無いけれど。確かマリアの奴は、あんまり好きでは無かったはずだ。エールなら、ワインを飲みたいというに違いないんだけれど。


 あたしも、餓鬼の頃から、エールは飲んでいたから。問題は無いのだけれど。樽の大きさが、一寸場違いだと思うのね。家族の食事に、樽のエールを用意する。


 あたしの対面には、この屋敷の主であるガルバドス伯爵が座り。彼の左隣には、奥様のクレア夫人が座った。彼女は絶えずニコニコして、上機嫌に見える。未だ成人していない、あたしの事を気遣ってくれているのかも知れ無い。


 これはジェシカ・ハウスマンさんの情報だけど。マリアとはそれないリにお付合いがある二人だから、言動には注意が必要だ。この遠征の間、マリアのことを直接知る人間には遭わないで済んでいたけれど。この人たちは、得に彼女を可愛がっていた人達だから、尾っぽを捕まえられないように、しなければならない。本当に、彼の悪役令嬢マリアの奴は上手く切り抜けたもんだと思う。


 


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