表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1172/1216

カテーナ領主夫婦  2

「彼処にいらっしゃるのが、フォルテ・ド・ガルバドス伯爵とその御家族です。リコ、上手くおやりなさいね」


 ジェシカ・ハウスマンさんが小声で、あたしに話しかけてくる。彼女の表情から、不安が見て取れる。彼の坊主の叔父さんは、マリアを其れこそ可愛がっていたらしい。ましてや、最も重要な、国境線を守っている人物だ。マッキントッシュ卿とは分けが違うって事だろう。


 お出迎えに出て来ている、使用人の数も結構な数だけど。全員が胸を張って、仕事に其れなりの矜持を持っているのが判る。職場としては、大変環境が宜しいのかも知れ無い。何より、履いている靴が結構良い物だって言うところなんかね。


 マリアの代わりに、この遠征の途中で、色々と領主邸にお邪魔したのだけれど。その中でも、此所の使用人たちの使っている靴は、其れなりに良い物だって判る。お抱えの靴職人が、良い仕事を為ているんだろう。良い靴を使用人にも、支給しているって言うことだから。経済的問題も無いのだろう。


 それでも、奥様がお金を配る決断をしているって言うことは、この領地がとても重要な場所だって言うことなんだろう。この辺りは、賢者様からの受け売りだけどね。


 本来なら、あんな人を奥様が在野においとくのが悪い。折角の知恵を失ってしまったのは、勿体なかったんじゃ無いかって思うのよ。それに失われた、書物なんか、どれだけの財産だったか計り知れないからね。何しろ、印刷技術が発達していないから、書物の類いは全てが手書きで、文字を書ける人が、大変な労力をつぎ込んだ品物なのだから。


 あたしの視線が向かうと、使用人たちが一斉に挨拶のための礼をしてくれる。これだけの人数が、一糸乱れぬ動きを見せると、結構な音が出るもんだな。なんか、取っても凄い。兵隊さん達なら、判る気がするんだけれど。単なる使用人も、其れこそ上から下まで、一糸乱れぬ動きが出来るって、一寸信じられない気がする。


 此所に勤める人達は、何時戦場になるか判らないから。覚悟を決めているのかも知れ無い。実際、この砦は奥様と一緒に落ちるのだけれど。この砦にいる人達、全員磨り潰されることになる。シナリオの都合というか、今のとk路其れを覆せないで居るからね。


 あたしは悪役令嬢マリアではないし、マリアを助けたから、少しは未来は変わっているとは思う。でも、其れだけだ。


 お隣の帝国の人達は、間違いなく侵略の意志がある。その証拠に、色々と手を変え品を変え、まるで戦略ゲームの様に、工作をしてきているからね。これは、あたしの勘でしか無いのだけれど。マッキントッシュ子爵の処の、橋の仕掛けなんか、その一手じゃ無いかって思っている。若しかすると、彼のお爺ちゃん領主様が、亡くなったのも、その一貫なのかも知れ無い。


 だって、今のマッキントッシュ卿はとても頼りないし。無能だとは言えないけれど。とてもじゃないけれど、既に目の前に脅威を抱えた、国境を任せることが出来ない。そう思ってしまった。


 きっと、奥様も感じているとは思うのね。だからと言って、確たる証拠も無しに転封させるわけにも行かない。これは考えすぎかも知れ無いけれど、橋の細工にしたって、雑すぎるのよね。発見させて、マッキントッシュ卿の立場を追い詰めるのが目的かも知れ無い。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ