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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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初めまして、悪友のお嬢さん 7

 先頭の馬車の扉が開かれて、見知った侍女の姿が現れる。お仕着せの服を着たジェシカ・ハウスマン女史だ。相変わらず勝ち気な表情が印象深い。


 実は俺が好もしく思っている人だ。あれで、年齢が近ければ、是非お相手して貰いたいと、思うかも知れ無い。隣にいる、妻が此方の表情に気付いたらしく。俺の顔を睨み付けている。これでも、家庭争議を起こしたいとは思っていないから、妻に微笑んでみせる。その心は、此方は可笑しな事をするつもりは無いと、知らせる思惑がある。


 こういった事に関して、我が愛する奥さんは犬並みの嗅覚を持っている。俺が、可笑しな事を考えている時を、正確に指摘することが出来る。そう言う意味でも、怖い存在だ。それでも彼女に出会えたことは、生涯の幸福とも思っている。


 後方の馬車から降り立った、毛並みの違う青年が、速歩で前の馬車に向かっている姿が見える。この国では、見かけない金髪を短く切りそろえている。着ている衣装からは、文官と見受けられるけれど、腰に下げている剣は、他の護衛としてきている、一般兵と全く同じ物だ。


 馬車の御者席から、降りて来た年配の兵士に、文官服を着ている青年は、此方に近付くのを止められている。その動きを見る限り、彼の毛色の変わった文官は、此方に派遣されている二小隊の者では無いのかも知れない。


 それから、次に馬車から降り立ったのは、ジェシカ・ハウスマン女史と、そう年の離れていない、メイドが降りてくる。大変美しい女性で、俺の立ち位置からは、どう見てもメイドを為ているようには見えない。侍女のお仕着せを着ていれば、侍女と思ってしまうだろう。


 もう一人のメイドが、馬車から降りてくる。年の頃は三十代だろうか。これまた毛色の違う女性だ。その豊かな金髪を、編み上げた姿は立派な侍女と勘違いしてしまうかも知れ無い。若しかすると、侍女のジェシカ・ハウスマン女史より洗練された仕草をしている。彼女が、金髪の文官に笑いかけたように見えた。


 ジェシカ・ハウスマン女史が、他のメイドたちを下がらせると、最期に降りてくる少女に、手を差し伸べる。どうやら、女史がエスコートするようだ。マリア・ド・デニム伯爵令嬢をエスコートするにも、此所にはそう言った立ち位置に居る者が居ない。俺が、もうすこしマリア・ド・デニム伯爵令嬢と懇意にしていれば、其れも在りなのだろうが、其れはきっと奥様が許してはくれないだろう。


 黒髪を軽く三つ編みにした、少女の顔に、俺は衝撃を受けた。マリア・ド・デニム伯爵令嬢その人としか思えない。身代わりの娘を、ハーケンの奴が奉公に出したと聞いていた。其れが、これほどそっくりな娘だとは思ってもみなかった。


 ハーケンが結婚して、程同じ時期に娘を授かったとは聞いていたのだが。其れが、これほどマリア・ド・デニム伯爵令嬢と似ているとは思いもよらなかった。


 まるで双子のように良く似ている。その上、此方を見る彼の視線が、何処か姫様を思わせる。彼の腹黒野郎の手紙に書いてあったことが、少しではあるが信憑性を増したような気がした。



 


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