表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1168/1217

初めまして、悪友のお嬢さん 5

 正門が開かれて、砦の跳ね橋がゆっくりと下げられる音が響く。そろそろ保守点検の時期だろうか。


 側に来ていた、筆頭執事のベイリーに向けて、声を掛けておく。気が付いたときに対処しておかないと、後で後悔することになるから、其れを今しておかなければならない。後で対処することなど、中々出来ないことだからだ。


「跳ね橋の保守点検を、前倒しで行っておくように、ガストの奴に伝えておけ」


 視線をお仕着せの執事服を着た、初老の男性に向けて言葉を掛ける。俺が餓鬼の頃から、此所で執事をしている、生粋の執事だ。何処かの腹黒執事とは違い、実直真面目な使用人の鏡のような男だ。奴のように、情報機関の頭など遣っては居ないが、十分この屋敷内を切り盛りしてくれている。


「畏まりました。お客様がたの歓迎の準備は整っております。其れと、昨夜、領都の方で、いささか歓迎できないことが、起こりましたので、その内容につきまして、領都番からの報告書が届いております。後ほどお持ちいたしますので、宜しくお願いいたします」


 ベイリーは、そのまじめくさった表情を此方に向けて、タンタンと話しかけてくる。この男が、声を荒らげるところを見たことが無い。其れこそ、俺が餓鬼の頃から、こう言う話しかたをする男だった。これが、大恋愛の末結婚為たなど未だに信じられない。因みに、結構ふくよかな奥様だ。子供は全員、成人しており。既に、孫が居たはずである。


 ベイリーとの話が終わったとみるや。我が愛する妻のクレアが話しかけてくる。今日の気分は其れなりに悪くないらしく。肌の色つやも良く、化粧ののりも良いらしい。最近、彼女が愛用している香水の香りが、何とも言えずそそる物があった。


 少しだけ、髪を下ろしている彼女の姿が脳裏に浮かぶ。流石に今晩は、そうも行かないだろうが、孰れ近いうちに一つ拝みたい物だ。


 二人の息子たちは、今回公務を勤めるマリア・ド・デニム伯爵令嬢とは、かなり近い年齢である。ただ、色々と拗れてしまっているので、俺とは話が出来なくなってしまっている。


 俺にも経験があるから、そういった事は仕方が無いことなのかも知れ無いと思っている。実は本来なら、王都にある学校に行かせなければならないのだが、療養のために、この領を出られないと言うことに成っている。実際、長男は病弱で月に何回か、寝込む事も有った。


 本音を言うと、彼の王のもとに人質に、出したくなかっただけだ。彼の国の定める、有力貴族の子女を通わせる、学校という物は学びの場としては、決して宜しくないと思っている。体の良い人質を確保するための、制度でしか無いのだから。


 あくまでも、俺達はマルーン王国を統べる。女王アリスの臣下なのだから。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ