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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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スチルに在った場所 2

 放し飼いになっている牛たちが、所々で寛いでいるのが見える。その牛たちを見張っているのか、手槍を担いだ少年がぶらぶらしながら、歩いている。ああして牛たちの安全を図っているのだろう。この時間なら、そろそろ牛たちを掻き集めるために、合図を出すようになるだろう。


 この辺りの牧畜産業は、意外におおらかで、結構緩いところがある。この近くには、牛を狙う害獣は其れほど居ないのかも知れ無い。彼の牛飼いの少年の動きには、全く危機感がなかった。


 正直車内の、居心地の良くない雰囲気の中に居るより。外で、歩いていた方がよっぽど気楽にしていられる。護衛のために付き従っている、アップル叔父さんの隊の連中は、見た目強面だけど。気の良い奴らばかりだから、歩きながらでも冗談を飛ばしながら笑っていたりするからね。その内容は、一寸少女には聞かせられないような、お下品な物が殆どだけど。そっちの方がよっぽど気楽だ。


 因みにあたし達が乗っている馬車の御者をしてくれているのは、後出し叔父さん事オーベルジュさんだ。この人が、手綱を握っていると、其れだけで安心感があったりする。彼の隣には、この間お使いを頼んだ、ニッコリって言う叔父さんが座っている。


 チッタの奴は、先触れの為に一足先に、カテーナ砦へと向かっている。到着する二日前に、先触れが必要だから。今回もその任務をこなしてくれている。実を言うと、この先ぶれには、特典が付いてくる。他の連中より早く着かなければならないけれど。その代わり、相手の歓待を多く受けることが出来る。


 今頃は、彼奴は良い思いをしていることだろう。先触れの使者を決めるのは、隊長の命令ではなくて、くじ引きで決められている。これも、隊の中では機密事項になっていたりする。


 これが、私兵団の実態だって言うのだから、如何なんだろうね。なんか、軍隊のイメージと大夫違う気がする。これで、デニム家の私兵団最強部隊だって言うのだから、怖い話しだと思う。傭兵隊だって言うのなら、何となくイメージできるのだけれど。これが正規軍なんだよ。


 王様直属の騎士団でもなく。近衛兵でもないから、この緩さでも許されるのかな。マルーン王国が、属領となったときに、騎士団も近衛兵団も解散してしまった。名だたる騎士は、王都へ移動させられ。この邦にはきしって言える人間は、ほんの一握りしか居ない。


 戦力って数だし。どんなに一騎当千の手練れがいても、連携の出来る数には適わない。実際父ちゃんも、其れなりの腕を持った人間に、囲まれたらどうなるか解んないからね。


 兵隊さん達は、何時も楽しそうにしている。そうで無いと遣っていられないのかも知れ無いなって、最近は思うようになっている。


 どちらかと言えば、馬車の中で楽しそうにしていなければ、いけないような御嬢様たちの方が。真っ暗な雰囲気の中に居る。何しろ、この馬車の中で、女たちのかしましい話し合いなんて、全くなかったのだから。ジェシカ・ハウスマンさん、もう少し空気を読もうよ。気を遣ってよ。あたしは、涙目になりそうだ。




  


 

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