表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1156/1217

マッキントッシュ邸を後にして 5

 あたしは内心の思いを成るべく顔に出さないように、気を付けながらマッキントッシュ卿との話し合いを続ける。年齢的にも大夫離れている関係上、中々話が盛り上がることもない。何より、彼の方は、あたしがつかんだかもしれない事を知りたいのか、誘導しようとしているし。あたしの方は、何とかそれから逃げようとしているのだから、話しがかみ合うわけもない。


 こう言った互いの、腹の探り合いみたいなことは、できれはノーサンキュウでと声を大きく言っておきたい物だ。あたしの視線が、ジェシカ・ハウスマンさんに向かっていることに気付いてくれたのか、彼女が話に割り込んでくれる。それでも話題を逸らすことが出来ないみたいだった。


 侍女とは言っても、ドリーさんとは違い成人して、それほど経っていない彼女に取っても曲がりなりにも領主として、仕事を為ている人物を煙に巻くのは難しいみたいだ。これは逃げの一手しか無いかも知れないな。


 護衛に来ているオーエンス隊の兵隊さんは、結構なベテランではあるけれど。彼らは、貴族同士の話し合いに割って入るようなことなんか出来ない。当然、下級使用人であるサリーさんは心配そうに眺めている。


 既にアップル隊の隊員たちは、空の馬車を所定の処へ移動させようとして、寄ってきた私兵達と話しながら、移動してしまっている。レイの奴も、連中と一緒に向かっているから、文官としてより兵士として振る舞っているような気がする。実際兵士だったんだから、その辺りは仕方が無いのかも知れない。


 いや、元王族なんだから、あたしの窮地に助け船を出してくれても良いと思う。あれで、攻略対象って言うんだから、ガッカリしてしまう。一応亡国の王子なんて設定は何処に行ってしまったんだ。


 傍目には、偉いさん如何し、談笑しているように為見えないけれど。あたしは逃げ出してしまいたい。前世の記憶と此方での経験を足せば、其れなりの経験をしている。でもね、こう言った貴族同士の、腹の探り合いなんか、出来るわけが無いんだ。


 背中を嫌な汗が流れている。此方の腹を探らせるわけにはいかない。感づかれれば、重要な証拠になりそうな物を隠滅される。此方としては、あたしが此所を離れている間に、証拠を掴む必要があるから。感づかれれば、其れで終わりになってしまう。これって、すっごい恥ずかしいけれど。子供らしく行動することにする。


「卿。申し訳ありません。わたし、一寸諸将を思い出してしまいました」


 わざとらしく微笑みながら、軽く膝を曲げて挨拶を結構する。其れほど暑くもないのに、汗が噴き出しているから、結構リアルに見えるだろう。言葉の裏には、これからトイレに行くと載せているのだ。格好悪いけれど、その辺りは仕方が無い。これ以上長話をしていると、ウッカリ漏してしまうかも知れないからね。


「申し訳ありませんな。長話に付き合わせてしまいました」

「いえ、此方こそ申し訳ありません。お話は、後ほどに致しましょう」


 あたしは、其れこそマッハの速度で踵を返す。そして、令嬢としては少しばかりはしたない速度で、屋敷の中へエスケープ為て行く。マリア御免。はしたないけれど、あたしに令嬢としての所作は無理だ。








 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ