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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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マッキントッシュ邸を後にして 2

 一台の大きな馬車と荷馬車の車列が、中庭に入ってくると。マッキントッシュ家の私兵達が、其れなりに迎える態勢になる。この前の砦の出迎えに比べれば、明らかに練度が落ちる。いわゆるもう少し頑張りましょうって感じ。


本当に卿はなにを考えているのだろう。こんな事なら、前の爺ちゃん領主様

がいた頃の方がましだったんではないかと思う。その頃でも、結構緩かったことは内緒だ。


 大きな馬車の御者席には、チッタの奴が乗っている。四頭立ての馬車の御者席に乗るのには、其れなりの技量が必要で、あたしはチッタのことを見直してしまった。行きには、彼の席にはジム・アップル隊長が乗っていたように思うのだけれど。ほぼ空だから、彼に任せたのかも知れないけれどね。


 馬車の前には、レイとジム・アップル隊長が徒歩でこちらに向かってくるのが見えた。他の小隊のメンバーは、列を整えながら、こちらを注視している。この辺りは、手順も成れきっていて、迅速で綺麗にそろっている。


 マッキントッシュ卿は、僅かな緊張となにかを伺うような態度をしている。昨期まで、あたしの方を伺っていた視線を、此方にやってくる二人の臣下に聴視している。彼の様子だと、彼は此方に話しかけてくるかも知れない。そんな顔をしている。


 あたしがここの所、自室に籠もって、マッキントッシュ家の書類の類いを読み耽っていることを知っているはずで、此方の動きに興味を持っているのだろう。何より、あたしの動きはある時を境に、知ることが出来なくなっている。そうなるように、あたしは気を付けるように為たからね。


 客室に仕掛けられている、のぞき穴の空いている壁には、あたしが手書きした、アニメのキャラクターを描いた小さな紙を貼り付けて、覗けなくしているし。重要な話しは筆談にすることにしている。勿論たわいない会話は、聞き放題にして上げている。


 何しろそう言うはしたない仕事でも、生活の糧に為ている人達にとっては、大事な収入源でもあることだしね。御屋敷の仕掛けを自力で見つけ出している、あたしにはこの御屋敷の構造は子供だましと言える物だった。この御屋敷の設計図を見たわけでは無いけれど。若しかすると、制作者が同じ人なんじゃないかと思う。殆ど、同じような造りになっているからね。


 レイとアップル隊長が、あたしの顔を眺めて、敬礼を捧げてくる。二人とも、大変元気そうで、レイなんかは少し太ったかも知れない。きっと、あちらでは良い思いをしたんだろう。


「お帰りなさい。どうやら何事もなかったみたいで、ホッとしたわ」

「無事に届け物を送ることが出来て、喜んでおります」


 あたしの労いの言葉に、敬礼を終えたアップル叔父さんが、笑顔を浮かべて答える。


「御嬢様の方はいかがでしたでしょうか。木賃と護衛の仕事を、彼の運びや連中はしておりましたか」

「勿論確りと仕事を熟してくれたわ。お陰で、私は自分の仕事に専念できたわ」

「其れは何よりです」


 あたし達の話しに、無理遣り割り込んでくる人がいる。此所の支配者であるところの、マッキントッシュ卿だ。少々強引で、あたしでも一寸如何かなって思うくらいの入り方だ。


「お帰りなさい。ナーラダ村の復興状況はいかがでしたかな。あそこは、彼の洪水のさいに、最も被害が大きかった村でして、重点的に支援している場所です」


 まるで取って付けたような話し方に、あたしはあんまり良い感情にならなかった。あたしは彼の村に対して、其れほど力を入れているとも思えなかったからだ。




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