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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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1152/1215

マッキントッシュ邸を後にして

 天候も落着いて、少しづつ太陽の日差しが強くなってきた頃。ナーラダ村へ向かっていた、ジム・アップル隊が帰ってきた。


 あたしは、護衛二名とサリーさん並びに、ジェシカ・ハウスマンさんを引き連れて、マッキントッシュ邸の中庭で待っている。一応令嬢らしく桜色のドレスを身に纏っている。因みに、これは態々奥様が注文して、用意してくれた一張羅である。


 因みにこのドレスにも、色々とあたしの意向が反映されている。何より幾つかポケットがあるのがお気に入りだ。それに、このドレスは一人で着ることが出来る。マリアのドレスは、綺麗だけれど一人では着ることが出来ない。使用人の介助がなければ、着替えることも適わない。何しろ、平民育ちのあたしには面倒くさくて仕方が無い物だった。


 鋸を入れられた、橋の方は流石に補強工事をして。何の心配も無く渡ることが出来る。あたしとしては、このトラブルがなければ、村に足を運びたかったけれど。この辺りは仕方が無い。


 帰りにでも、寄ることくらいは出来るだろう。その前に、ジェシカ・ハウスマンさんを説得しなければならないけれどね。予定より随分遅れているから、反対される可能性の方が高いのだけれど。其れくらいは、融通してくれても良いと思うのね。

 

 あたし達が庭先に出て来るのに合わせるように、マッキントッシュ卿や、彼の家臣の人達が、庭先に出て来る。それでも、彼の忠誠心を表すためなのか、結構な数のお迎えだと思う。


 あたしが書類の精査をしてからと言う物、マッキントッシュ邸に居る使用人の気のかけ方が、意外にうざいくらいに馬鹿丁寧になった。絶えず見張られている感じがして、気分の良い物では無い。


 あたしが、マッキントッシュ卿が色々と可笑しな事を為て居るのでは無いかと、思われいている事には気が付いているのだろう。だから、注視されるのは仕方が無いのかも知れない。


 あたしに言わせれば、ザルとしか言えないような警備体制とは言え。それでも、中々確信に繋がる物を掴めることが出来ないでいる。叛意はあるのだろうけれど、其れを糾弾するほどのことまでは至らない。あくまでも心証的な物でしか無いし。起きていることがバラバラで、疑惑にしか成らなかった。


 さくらいろのきみに・・・で描かれていた、奥様が砦での籠城を決断しなければならなかったのは、このマッキントッシュ卿が関わっているような気がするんだよね。だって、あたしがこれから行く場所こそが、奥様が蛮族の軍隊に取り巻かれて、命を落とす場所だから。


 後方支援をになう、マッキントッシュ卿が裏切ったなら、間違いなく砦が落ちる。これはリントンさんに聞いたのだけれど。彼の砦こそが、帝国と名乗る蛮族たちを押しとどめていた、守りの要だったそうだから。


 


 

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