表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1147/1215

楽しいお使い 4

 追っ手はこれで一拍遅れる。此方の動きを把握できる、支援もないようなので、上手くすればこの一手で、捲くことが出来るかも知れない。何より、奴らはトウシロウだから、追いつける可能性は相当低いだろう。


 雨宿りしていた、おっさんには気の毒したが、この辺りでは良く在る話しだ。どうせあのまま居たところで、ずぶ濡れになることは目に見えている。もしも酒場で見かけたら、エールの一杯でも奢っておこう。ほぼ無いだろうが。


 娘と嫁のお土産を探すのは、奴らを捲いてからにすることに成りそうだ。買い求めてから、ああいう奴らにちょっかいを出されるのは気に入らないからな。


 更に加速する、このまま捲けると楽なんだが、そうも行かなかったらしく。二人が更に追いかけてくる。どうやら、素知らぬふりで、こっちの動きを観察するのは、諦めたらしい。ニッコリの懐にしまい込まれた、手紙を物取りの犯行に見せかけて、奪いに来たらしい。


 それから、推測できるのは、彼の客間には覗き部屋が併設されている。彼の嬢ちゃんは、客間にある仕掛けに気付いていながら、ニッコリにお使いを頼んできたって事だ。内心のワクワクが止まらない。


 行軍に従事する身としては、結構危険な任務を引き受けることの多い、オーベルジュ隊だ。輜重隊の中でも、とりわけ危険な場所に進んで、向かうことの多い部隊なのだ。今回、編制された遠征隊の顔ぶれを見れば、だいたい想像が出来る。極めて、危険な場所へ向かうことが判っていた。


 これに、ハーケン隊が加わるようなら、小規模でも戦があることを意味する。流石に、其れほどのことにはならないだろうが、今回の不穏な歓迎を思えば、間違いなく一悶着有るに違いない。


 マッキントッシュ卿の叛意在り。その事が窺える。その証拠に、この動きだ。


 何より、この遠征隊の頭は、ナーラダのリコ嬢だ。表向きは、マリア・ド・デニム伯爵令嬢てことになっているけれど。彼のハーケン隊を模擬戦で、全滅に追い込んだ。とんでもない、射手だ。その上、ハーケンの奴に言わせれば、ちっちゃい将軍らしいからな。


 ま、親の欲目だろうが、今の処そんなに間違った判断をしていない。今回は、ちっと化かし危ない橋を渡らせられているが、それでも許容範囲に入ってしまう。


 何より、ニッコリを使ってくれるのが、嬉しかったりする。何しろ、オーベルジュ隊には彼以上に腕の立つ、化け物が居るのだから。


 ひたすら足を動かし、下見をしておいた小道に入り込む頃。一人近づいてくるのが見えた。手にはショートソードを握っている。物取りになる決断をしたらしい。後方には、もう一人が走っているが、かなり足が遅い。この分だと、これで打ち止めになるかも知れない。


 彼のおっさんのお陰で、一人は脱落したらしい。今頃、彼のおっさんは酷い目に遭っているかも知れない。だからと言って、同情する気にもなれない。運が悪かったと思って貰うことにする。


 実はこの小道には、此方の都合でおびき寄せた。この辺りには、目撃者はまず居ない。何より、変に事件に関わると、酷い目に遭うから、ここの住人は口を閉じるのが基本だ。


 奴らも、この辺りの事情には明るいんだろう。此所で、騒ぎを起こしても、自警団ですらやってこない。いわば、危険地帯だ。此所で、怪我でもしよう物なら、身ぐるみはがされること間違い無しだ。






 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ