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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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スプーン一杯分の不正と一寸したお使い 6

 考え事をしながらの食事は、あまり良い物では無い。折角のおいしさが、何処かへ逃げ出してしまったからだ。


 ここへ来てからの食事は、結構贅沢な物で、腕の良い料理人がいることが判る。メイドにはとてもでは無いが、マリアが食べて、残された物を口に入れる以外に。こうした、良い食事にありつける機会はない。


 因みに今回の食事は、残すような物では無い。何しろ量が多くないからだ。当然朝食だしね。


 メイドのサリーさんは、あたしが朝食を終えるまで、そばで給仕をしてくれている。彼女の所作は、メイド長のサンドラさんより嫋やかで、まるで何処かの御令嬢のように綺麗だ。若しかすると、侍女のジェシカ・ハウスマンさんよりも綺麗かも知れない。


「お茶になさいますか。それとも、ワインに致しましょうか」


 これも定型文の質問だ。此所では、余り水の状態が良くない。飲み水としては、推奨されない物だ。だから、井戸水とは行っても、一回煮沸する必要がある。だから、食後に飲むとすれば、お茶かエールか煮沸した水で、薄めたワインと言うことに成る。


 因みに、十歳からエールは飲んで居たりする。此所では、未成年にお酒を飲ませないって言う法律はないからね。未だ、其れほど技術が確立していないせいか、蒸留酒は見たことが無い。久しぶりに、飲みたいときもあるけれど。流石に、十三歳の身体には毒だろう。


 あたしとしては、水で薄めたワインより、混ざり物の入っていない奴が飲みたい。そうなると、朝食時に飲むようなものでも無いのよね。


「お茶で良いわ。晩餐会で飲んだけど、あんまり美味しい物でも無いしね」


 お酒は水で薄めちゃいけないと思う。其れも、かなり薄いのだ。昔は結構飲んでいたけれど。どちらかというと、きんきんに冷やしたビールを飲んでいたし。何だったら、ハイボールの方が好きだ。ワインに口を付けるときには、奢って貰うときだけかな。男は馬鹿だから、笑顔の一つで、簡単に奢ってくれる。


 こっちで育てられているうちに、結構エールは飲まされているけれど。あれも、あんまり旨い物でも無いのよね。本当に、昔のビ-ルは上手かった。瓶事態が馬鹿高い代物だから、樽で作る代物で、飲む頃には炭酸が完全に抜けてしまっているし。アルコール分だって、とても弱い。子供が飲んでも、そう簡単に酔っ払ったりしないのだ。


「ジェシカ・ハウスマンを呼んでちょうだい」

「……」

「あの、彼女は少し体調が悪いようです 。ですので、もし宜しかったら、私が伺います」


 そう言えば、今日は顔を見ていない。普段なら、サリーさんと一緒に来るのが日課になっているのに。鬼の霍乱って事も有るのかも知れない。彼女が調子悪ければ、一寸困った事に成るかも知れない。


 あんまり呼びつけるようなことはしたくないんだけど。その辺りは仕方が無い。ジェシカ・ハウスマンさんなら、あれでも、貴族の端くれには違いないからね手紙を渡して、命令とすることも出来るけれど。平民のサリーさんじゃ。兵隊に此方に来るように言付けるくらいか。


 あんまり伝言ゲームみたいにしたくないから、呼びつけて、命令に為た方が良いだろう。平民の、あたしに命令されるのは、気分が悪いかも知れないけれどもね。その辺りは、父ちゃんの娘ってところが大きいだろうし。大丈夫かな。







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