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スプーン一杯分の不正と一寸したお使い 5

 このマッキントッシュ子爵の納める、領地は此方の領地に触手を伸ばしてくる、国と隣接してしまっている。そう言う意味でも、重要な場所だ。だから、守りを固める意味でも、城壁を築くことには意味がある。だから、奥様は何も言わなかったのだろうけれど。其れは、守りを固めるならば、意味があることだ。


 この場所は守るならば、其れなりに適している。何より、これから向かうことに成る砦には、かなりの数の兵を抱えていたのだから。あたしは此所より南に向かう予定になっている砦こそが、ゲームさくらいろのきみに・・・のスチルにあるように、奥様が城を枕に討ち死にしたところだと思っている。


 どうして、奥様が彼の城にいたのか、訳が解らないのだけれど。それでも、居たんだから仕方が無い。其処で、逃げ出すことも出来ないまま、包囲されたのか判らなかった。若しかすると、この件が関係しているのかも知れない。


 もしも、奥様が彼の城に入ったときに、後方を守っているはずの、マッキントッシュ家が寝返ったら。其れだけで、大変なことに成る。戦争の勝敗を決めるような、裏切り行為だ。


 若しかすると、もうこの頃から、奥様を裏切っていたのかも知れない。もしそうなら、あたしとしても許せないことだ。あたしはゲームだと思って、楽しんでいただけだけれど。此方では、大変な数の犠牲者を出した戦争が起こっていたなら、止めなければならない。


 あたしの大事な人達が、蹂躙されるのなんか見たくない。悪役令嬢マリアが、王都で馬鹿を遣らなければ、戦争は起こらないと思っていたんだけれど。こうして、事情が分ってくると、一伯爵令嬢が起こしたことが、戦争を誘発しているわけでもなくて。誰かが、計画的に戦争を起こしていたんだって事が判った。


 今回のことも、若しかすると帝国の計画の一環なのかも知れない。まるで、戦略シミュレーションを遣っている人間が居るんだ。そんな気がしている。


 これは例えばだけど。マッキントッシュ家が、何処かの誰かが意識的に、裏切らなければいられないように仕向けられているとしたら。もしも、あたしの乗った馬車が、堀に落ちていたら。マッキントッシュ卿の立場は、相当悪くなっていたかも知れない。


 その時に、誰かが溺れたら、どうなっていただろう。幸いにも、橋の仕掛けに気付いたから、落ちずに済んだけれど。援助資金を運んできた、マルーン邦の支配者である、奥様はどう思うだろうか。


 マッキントッシュ卿の家族は、その事で貴族達の中で、結構辛い立場に立たされてしまうだろう。そんなときに、甘い言葉を囁かれたら。人はそんなに強くない。簡単にそちらの手を掴んでしまいやしないだろうか。


 今、マルーン邦を束ねているのは、奥様だけだ。彼の旦那は、王都から出てこないだろうから、当てには出来ない。そして、乙女ゲームさくらいろのきみに・・・で描かれているのは、王都陥落までのエピソードだ。


 マルーン邦を落とせば、そこからは一本道になる。王都まで最短で、軍隊を向かわせることが出来る。女傑と呼ばれる、奥様の威光があってこそ、マルーン邦の戦力が戦力として機能する。だから、奥様が鉄のスカート

を穿いてるなんて、揶揄されているのだから。



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