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書類との格闘 20

 朝の気持ちの良い空気を吸いながら、あたしが割り当てられている客室の木戸を押し開けた。ここから見える、屋敷の裏庭には、既に何人もの使用人達が、並んで井戸水をくみ上げては、バケツリレーをしながら、屋敷の方に運んでいる。

 最近は、大夫暖かくなってきており。こう言った辛い仕事も、作業をする人達にとって、楽しいお喋りタイムに成っているのだろう。視線を上に上げると、ぽっかりと小さな雲が一つ。東の空には昇り始めの、少し歪んだ太陽が見える。あの人達にとっては、今日も良い一日に成るに違いない。

 この部屋に戻ってきてから、即効で寝たから。恐らく五時間は眠ることが出来た。それでも、少し身体がだるい気がする。いくら若くても、流石に疲れが取れない。この部屋には鏡が置かれていないから、顔を見ることが出来ないけれど。間違いなく、あたしの目元には隈が、居座っているだろう。

 こうしてみると、この御屋敷は住む人の生活より、何処か戦争の準備をしている城を思わせる。何より作りかけの、城壁が其れをいっそう肯定しているような気がして、あたしは気になっている。

 あたしの経験上、お金の出し入れは、その目的が確り判るように成っている。勿論、裏帳簿は確実にあるだろうし。今手を付けている書類の類いは、マッキントッシュ卿が、見せても問題になりにくい物を持ってきている。それでも、可笑しな事も有るのだけれど。そういった事に、あたしが気付かないと思っているのだろう。

 並みの文官でも、気付くことが出来ないくらいのやり口で書き込まれた、文章表現。数字の中に隠された、使途不明な金額の多さにビックリしてしまう。絶対秘密の帳簿の類いもあるに違いない。

 今判っていることの中には、たぶん卿の関係している物の他に、何者かが横領している物も、有るのだろうけれど。其れだけでは無い気がするんだよね。

 何より、一番問題なのはデニム家から送られている、復興支援金の中に、可笑しな項目が在り。本来は、彼の支配地域に送られなければならない、復興支援金がかなり減らされていることだ。その使途についても、気になっている。

 あたしが昨夜、影の人の手助けをお願いしに行ったのは、そう言った裏帳簿の類いを手に入れて、精査して貰うことだ。この屋敷に来てから、あたしがずっと調べている、書類だけでも、机の上に山積みに成っているから、大変な量には違いないからね。因みに、此れは正式に見せても良いと思っている内容なんだよね。

 達等えば、先代のマッキントッシュ卿の、子飼いの兵士達を何処の任務に就かせたとか。今要る者をどうして、新しく雇うことにしたのかなんかは、この書類の山の中には入っていない。

 新しく作っている、城壁が必要に成った経緯についての、説明にしたって可笑しな事この上ない。この状況で、領民に重税を掛けたら、そりゃ嫌われてしまっても、仕方が無いのかも知れなし。だからと言って、この非常時に、お金を掛けて城壁造り。子飼いだった兵士を解雇し、新たに数を揃える必要があるのだろうか。

 それで、練度が下がってしまっているのは、どう説明するんだろう。

 だから、奥様がマッキントッシュ卿の元に行ったら、よく調べるように言ってきたのだろう。あたしが、村で村長の手伝いを、していたことを知っていたから。若しかすると、父ちゃんが自慢した。


 


 

 

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