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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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書類との格闘 5

 密猟者の家族ご一統を送り出してからが、大変だった。街の中を、其れこそ宣伝しながらの移動みたいな物だったから。街の衆にとっては、格好の娯楽のような物に成ってしまった。見物人で、道が溢れかえってしまい。護衛任務をしている、たった十人の兵隊では騒ぎを押えることが出来なかった。

 大人しく付いて来ているだけでは、彼らを威嚇することも出来ないらしく。困ってしまっていた。因みに、マッキントッシュ家の私兵の皆さんも、其れなりには出て来ているのだけれど。彼らは明らかに、訓練不足が見受けられるから、余り当てにはならない。

 前世の記憶にある、バイトの警備員より仕えない気がするんだよね。困った事に、彼らは剣という獲物を持っているから、手慣れていない警備状況を見る限り、血を見るんじゃ無いかと、気が気じゃない。あたしが、出歩いたから怪我人が出たなんて言われたくないからね。

 帰ったら、奥様に報告して、梃子入れをするように提案しておこうと思う。まあ、聞いてくれるかどうかは別問題だろうけれど。

 何で、マッキントッシュ卿は私兵を全取っ替え為てしまったんだろう。あとで、問いたださないといけないかも知れないな。その辺りも含めて、後ろに控えているジェシカ・ハウスマンさんに相談してみよう。

 橋の様子は、昨夜よりハッキリ見える。明らかに故意に入れられた、鋸の入れ方は、匠の技と言えるだろう。こんな事で感心して良い物では無いけれど。そう簡単には折れない、でも一本でも折れれば、間違いなく橋は終わっただろうなって感じだ。

 ご丁寧に、橋を支える全ての柱に、何時折れても可笑しくないほどの切れ目が入れられており。一度に荷重がかかれば、間違いなく折れる。そんな感じだ。

 堀に中の水は、今の処無くなっており。所々に水たまりが出来ている状態。橋の下には、命令を受けた兵隊さん達が、柱を確認しているのが見える。其れと、明らかに職人みたいな格好を為た、職人さん達が泥だらけになりながら、取りあえずの応急処置を施している。

 実は、あたし達が来たから、職人さん達の仕事の邪魔をしてしまっているんだ。暫くの間、此所のお堀に水を入れられないだろうな。柱に木を打ち付けただけでは、大した補強にもならないからな。

 掛け替えることが必要に成るかも知れない。その方が安心して、通ることが出来るかも知れない。ただ、その予算が捻出できるかは、此所の担当事務官に聞かないと解らないかも知れないね。

 これは立派なテロ行為だ。死んだ職人には悪いけれど、その家族も巻き込まれることに成るだろうな。此所の支配者である、マッキントッシュ卿がどう考えるかだけれど。その辺りについても、ジェシカ・ハウスマンさんに相談かな。

 あくまでも、あたしは平民でのメイド件なんちゃってマリアなのだから、貴族の常識なんか判らないからね。ただ、此所では支配者が黒と言えば、白い物でも黒くなる世界で在ることは知っている。本当に切ない話しだけれどさ。

 本格的に、補強工事に着手するのは、堀の中が乾いた頃からかな。その間は、不便を強いられることに成りそうだ。街の衆にはその間、頑張って貰おう。





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