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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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鎮魂の時 2

 村の衆によって運び出された棺の数は七つだった。あの後見つかった行方不明者が二人増えている。今だに賢者様の死体は見つかってはいなかった。賢者様の住居は完全に水没してしまっており。村の衆は絶望視している。下流域のどこかの村で見つかるかも知れないと、あたしは期待している。ゲームには登場してこなかった人なので、ニックと同じ事なのかなとは思っている。

 あたしの腰に未だにくっついている、リタをつれて教会の裏手にある墓地に向かった。村の衆のほとんどが、この葬列に参加してきてる。司祭様のまるでう立つような鎮魂の祈りが、あたりを包んでいるように聞こえる。村の女達のすすり泣く声が、時折聞こえる。

 あたしの涙は、既に涸れていた。リタの泣き顔を見たら、涙が引っ込んでしまった。一緒になって泣いてはいられない気がして、泣けなくなってしまった。この子には泣く権利があるけれど、あたしには其処までの理由が無いような気がしてしまった。

 今回亡くなった者の中で、本当に親しかった者はニックだけだし。まだ、賢者様は死体すら見つかっては以内のだから。もう号泣するわけには行かない。後で一人になったときに、泣いて弔おうと心に決めた。

 リタはこの現実がよく判っていないのか、あたしが泣いていたので慰めようとしてくれたみたいである。本当に悲しむ権利があるのは、彼女なのに側で泣き出したあたしを気遣ってくれたみたい。基本的には言い子なのである。

 この子の立ち位置は厳しい。此れで両親はいなくなり。育ててくれる家族は、この村には以内だろう。何しろ訳ありのよそ者夫婦の娘である。数年前に、この村に流れてきた夫婦は村の外れにあった、空き家に住み着いて暮らしていた。

 その時一緒に暮らし始めた、男はいつの間にかいなくなり。キャサリンは、夫は亡くなったと村の衆に話していた。それ以来、未亡人と言うことになり。

 時折、村の男の相手をして生計を立てるようになった。それ以後、村の女衆には嫌われている。

 財産も無く学も無い女が、この村の中で生きて行くためには、他に選択肢が無かったのかも知れない。其れを始めてからの彼女は、不幸な人だった。男の相手をした後に、安酒を飲んで寝るだけ。あたしはああは、成りたくはないと思っていた。



 

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