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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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影の人との会合 11

 あたしは取りあえずカップに注がれている、良い香りのするお茶を口元に付ける。味は普通に美味しいお茶だ。他には、何も味の違いは感じられない。お薬の類いは入っていないだろうな。

 レイナが真っ先に、カップに注がれたお茶を飲んで見せたから。安全な飲み物だって事は知っているけれど。それでも用心するに越したことは無いから。

 何しろ、ディックはともかく。レイナに対しては、一寸危ない気がするから。用心するに越したことは無い。

 こっちの世界に転生してから、色んな人に会っているけれど。彼女みたいなタイプの人には、初めて会った。なんのために、こう言う仕事を為ているのか。あたしには理解できないことだった。

 単に身体を売っている子達のことは知っていたけれど。こうやって、邦のために身体を張っていることが、一寸信じられなかった。いわば、この人は身体を犠牲にして、情報を得ている人だ。

 あたしの心の中に、こう言う事をする女性に対して、如何しても嫌な感情が持ち上がってくる。少し違えば、あたしだって同じ立場になっていたかも知れないのに。喉の奥が気のせいか、苦く感じた。


「此所に書かれている事は本当のことですか」


 あたしは内心の思いをかみ殺すようにして、二人に確認を取る。正直信じたくも無い。この話は奥様も知っているのだろうか。如何したって、領都デイロウにいる奥様との間にタイムラグが出来るのは仕方が無いことだとは思うけれど。こんな事を。知っていて、ほっておく事は信じられない。


「残念な事に事実だ。だけど、その証拠となる物は見付けられなかった。少なくとも、俺達の知らない毒物が使われている。それに、お抱え医者の上げてきた報告書の写しも、読んだと思うけれど。単なる病死としか、書かれていなかった」


 あたしは肺の中に堪っている、嫌な空気を押し出す。気分が悪くて仕方が無い。犯人は、考えたくは無いけれど。アーノルド・マッキントッシュの可能性もある。一番得を為たのは彼だろうし。それなら、間違いなく親殺し。単なる無能処の話しでは無い。

 この世界の命の重さは、あたしが生きていた世界よりは軽いけれど。理由も無く殺して良い物でも無いのよね。ましてや、貴族階級の命を取ると言うことは、表沙汰になれば。裁判に掛けられて、其れなりの処罰の対象になる。其れも、発覚すればだけれど。

 この領都ベレタの街は、マルーン邦に取って重要な場所だ。此所が陥落しよう物なら、この先にある国境を預かる城が孤立してしまう。其れで無くとも、あたしが産まれる前の戦争で、この邦唯一の港を奪われているのだから。

 あたしはこの先の城が、奥様がこの先命を落としてしまう、場所だと思っている。あそこが落ちて、奥様を失えば、この邦は瓦解してしまう。その頃は、悪役令嬢マリアが王都で、国を売るようなことをしでかして、内乱を起こしていたから。王国からの援軍は得られなかったのよね。






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