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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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影の人との会合 5

 なんのために鋸が入れられたのかは判らない。マリアを狙ったのか、マッキントッシュ子爵に対しての攻撃なのか。あるいは、強制力って言うのが、働いたのか。

 そして、誰がやったのか。色々と可能性は考えられる。言えることは、あたしが何にも知らないで、この橋を渡っていたら、どれかの馬車が通る際に、橋が落ちただろうって事だ。もしかして、橋が落ちることで、起こるであろう騒ぎが目的だった。だって、馬車が堀に落ちたからと言って、怪我をするかも知れないけれど。溺れることは考えられないことだから。

 本来のなんちゃってマリアなら、溺れることもあるかも知れないけれど。中身が、あたしなら先ず溺れることは無い。小学校の授業で、服を着たままで泳ぐ授業をしているからね。ドレスだから、泳ぎにくいだろうけれど。泳げなくも無いしね。

 あたしを狙ったとしても、確実性が低い。あたしなら、こんな面倒いことなんか遣らないからね。遠方からの、狙撃を選択する。確実に殺せるしね。殺すのでは無く、マッキントッシュ卿の信用を落とすことなら、こう言う手を使うかも知れない。


「……」

「何時橋が落ちるか判らないけれど。間違いなく落ちるようになっているでしょう」


 いつの間にか、あたしの後ろまで近付いてきていた、レイナがそんなことを言ってくる。本当にキツい香水だ。何となく、下半身が熱くなってくる。此れって危険な物だと思う。良くAVの映像の中で女の人を可笑しくしてしまう、媚薬を使うなんて物がるのだけれど。それに近しい物じゃないかって思う。

 流石に此所で、息を止めるわけにも行かないから。一歩前進してみる。


「確かに此れは危険だと思うわね。良く今まで、橋が落ちなかったと思うわ」

「この橋を設計した、職人が鋸を入れたそうだから。絶妙な仕事だそうよ」

「で、その犯人は捕まえたの」

「残念ながら、誰も追えない処に逃げちゃったわよ。良いお客だったんだけどね。僅かのお金に目がくらんで、自分の命を差し出してしまったって訳」


 レイナが怖いことを事も無げに言い放つ。お子様に話す内容でも無い気がするんだけど。もしかして、あたし嫌われている。別に嫌われていたとしても、其れほど通用を感じないけれど。何で、この人が来たんだろうなとは思うのよ。

 正直、こういう事態を説明するのは、ディックでも十分出来ると思うし。何で、態々こんな香水を付けてくる必要があったんだろう。大人の癖に、可笑しすぎると思う。


「少し補足するよ」


 ディックが、話しに割り込んできた。度丁寧に、このヘドロで泥濘んでいるところまでやってきて。


「お願いするわ」

「レイナは少し変わった処で、情報収集している。その関係で、こう言うことを遣った人間に気が付いたんだ。其れで、俺が柱が折れているって、然るべき処に報告したんだ」


 レイナのお仕事に対して、かなり神経を使ってぼかしてくる。あたしは未だ子供に見えているから、そう言った事を知らせる物じゃないと思ってくれているのだろう。スパイを為て居る人にしては、意外にいい人なのかも知れないな。この辺り、リントンさんより善人なのかも知れない。

 この人が、上手く報告して暮れたから。そう言ったトラブルに巻き込まれずに済んだ。お礼を言うべきだろうか。


「ありがとう。本当に助かったわ」


 ヘドロの中で、あたしは間抜けにも令嬢式のお礼をしてみせる。ズボンに胴着の姿でするモンじゃ無い。端から見たら、随分間抜けに見えたことだろう。此れを見ているのが、レイと知らない叔父さんだけで良かった。

 こう言って判だけど。彼のお陰で、あたし達は詰めて泥水に浸かることも無かったし。マッキントッシュ子爵の家の人達にも、大きな負債を負わせなくて済んだ。

 もしも、橋が落ちて。馬車が堀の中に落ちるようなことがあって、こう言った不手際が発覚したら。かなり困る人達が出ることは明らかだったから。




 

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