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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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影の人との会合 2

 街の城壁を越えて、橋の側まで近付くと。黒い外套を着込んだ、いかにも怪しい人影が二つ。外套に付けられた、これまた黒いフードを目深に被っている。そのお陰で、顔を確認することが出来ない。顎の線は少しだけ目視できるんだけど。其れだけでは一寸判らない。

 正直フードを被っていなければ、相手の顔なんかは見る事が出来る。ここからだと、流石に顔までは覗き見ることなんか出来ないし。それでも、何となく大人の男女だって事だけは判る。

 視線を、城壁の上に人影の方に向けると。剣呑な人影が見える。さすがに、そっちの方は顔を出しているんで、見たことのない男の人だって事が判る。左手には、短弓が握られている。未だ、矢を番えていないから、ルークの言っていたバックアップって処だろう。

 後ろを守っている、レイの奴の足音が響く。少し焦っているのかも知れない。流石に、彼も弓は持ってこなかったから。最悪のことを考えているのかも知れないな。

 二人の立っている橋の側まで、約五メートルと言ったところで、足を止める。頬を湿った空気が、撫でていくのが判る。若しかすると、明日の朝は雨になるのかも知れない。


「リントンさんの言っていた人達なのかしら」


 緊張のせいか、喉が渇いている。あたしの声が聞き取れると良いのだけれど。何時ものように言葉が出にくい気がする。此れでも、緊張しているんだろう。

 このシチュエイションは、乙女ゲームさくらいろのきみに・・・のエピソードで、悪役令嬢マリアが怪物くんに射殺されそうになる、彼のシーンに良く似ている。レイが駆け込んできて身をもって、マリアを守るんだけど。

 彼女を守ることは出来ても、本人が死んじまって。本格的にマリアが壊れてしまった。嫌なシーンだと思うわ。


「ディックと言えば判りますかね」


 男の方が、フードを外して顔をさらす。中々のいい男が、良い笑顔を此方に向けてくる。両手を挙げて、自分は危害を加える気がないことを意思表示してくる。

 怪物くんとの遭遇時に、リントンさんと一緒にいた影の人だ。メイド仲間の憧れの人だ。

 本当に、リントンさんに良いようにこき使われているんだな。でも、あたしは同情なんかして上げない。好きで、スパイしているんだしね。


「其れは判るわ。貴方の事は、リントンさんが言っていたようだし」

「私はレイナ。以後お見知りおき下さいね」


 女の方が、フードを上げながら、言葉を掛けてくる。影に女の人も居るんだな。

 綺麗な顔立ちだけど、何処か件のありそうな丸い顔。全体的に、男にもてそうな顔立ちをしている。年齢は一寸判りづらい。十代にも見えるし、三十代にも見える。

 それでいて、笑った顔は、心の底から笑っているようには見えない。何処かぞくぞくする嫌な感じがする。間違いなく、女には嫌われるタイプの人だ。

 凄味のある美人。こういうのを、本物の悪女って言うんだと思う。あたしの直感が、警戒信号を上げている。男を破滅させるタイプの女って、たまにいるんだけど、彼女みたいな人がそうなんだろうな。



 


 




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