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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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脳天気な晩餐 18

 鏡の中のあたしは、結構な美人に出来上がっている。さすがはベテランメイド、こういった事に関しても、このトンデモスキルにはビックリだ。なんちゃってマリアを為ている間、何時も彼女にはお化粧して貰っているけれど。

 つり目で、きつめの顔が、まるでマリアのように、柔和に見えるようになる。女は化けるって言うけれど。此れで、前世の様に豊富な化粧品が有ったら、どうなってしまうんだろう。

 本来はあたしも、このスキルを身に付けなければ成らないんだけれど。今のあたしには、マリアの化粧をさせて貰っていない。メイドを初めて、半年しか経っていないから、どだい無理な話なのかも知れないけれど。一緒に、王都に行くためには、専属メイドに成らないとだからね。

 そうしないと、今あたしの面倒を見ているサリーさんが、暫くの間家族と別れて行く事に成る。彼女だけでは用が足りないから、レイが執事の名目で、あちらに行って、怪物くんに射殺される。其れがゲームの流れだ。其れは一寸ノーサンキュウだから、あたしが付いていく。あたしが行けば、レイの奴は死なないし。サリーさんの家族も一緒に居られるからね。サリーさんの行は、何も描かれていない。最悪そのまま、彼女も家族の元に返れなかったのかも知れない。

 其れはあたしが嫌だ。彼女の旦那だって、顔見知りだし。その子供だって知っている。母親が居なくなるのは、子供にとっては一大事だからね。

 背筋を伸ばして、脳天から糸でつられているように、すっと立ち上がる。普段の奥様の立ち姿に、少しでも近づけるように。あたしの黒髪は、マリアの其れと違って、短めに切りそろえられている。普段メイドをしているから、そんなに髪を長くしても措けないから。

 こ此れから会う人達は、マリアのことをそんなに知らない。何しろ、デビュタントもしていないのだから、当然だ。

 あたしは、心の中で、私はマリアと何回も呟く。其れで、彼女のような所作を続けられるわけでは無いのだけれど。其れでも遣らないよりはましだと思うから。


「其れでは参りましょうか」

「はい。マリア様」


 サリーさんが、私の仕上がりに満足したのか、大きく頷いている。そして、何か驚いたような、表情を浮かべて。私に道を空けてくれる。


「奥様にそっくり。リコなのよね」


 サリーさんの呟きが聞こえる。そう言えば、彼女は奥様付きのメイドをしていたんだっけ。其れって、マリアから結構遠いところにいるって事よね。

 一寸慌てて、マッキントッシュ子爵家の処のメイドさんが、扉を開けてくれる。その際に、彼女は小さく頭を下げた。

 扉の先には、チッタの奴が護衛宜しく立っているんだけど。此奴の顔も、何か驚いたように、まるで貴人を相手しているように、敬礼をしてくれる。

 意識して、微笑みを浮かべるとチッタの奴の頬が赤く染まった。嘘みたいだ。此奴の好みは、こう言った感じの御嬢様って事なんだ。因みに、護衛任務を受けている兵隊には、あたしがナーラダのリコだって知らせていない。つまり、今の処化けきっているって訳。

 男で、あたしがナーラダのリコだって気付いているのは、レイただ一人だけだ。従って、今夜の冒険のお供はレイに決まりかな。あたし一人で、出かけても良いのだけれど。流石に、ジェシカ・ハウスマンさんが許して呉れなさそうだし。許されなくても、出掛けることは確定なんだけどね。





 



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