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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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脳天気な晩餐 15

 サリーさんから、封蝋付きの紙を受け取り。その四つ折りにされた紙をしげしげと眺める。紙の質はお世辞にも良いとは言えない物だけれど。もしも封蝋をはがして、中身を見たなら、そう簡単に元には戻せないような工夫がされている。さすがは、リントンさんの誇るスパイの仕事だ。

 それに、この封蝋の紋様は複雑な物で、そう簡単に複製を作れないようになっている。あたしにいけない事を教え込んだ、ニックでも一週間は時間が必要に成るだろう。あたしじゃ、二週間は必要に成るかも知れないね。勿論、そんなこと本当にやる気になんか成らない。実際時間の無駄だしね。

 それでも、マシュー君の奥さんに、お手紙を渡したのは、不味かったんじゃないかと思う。何しろ、彼女達はそう言う事に関しては、全くの部外者だから。これ以上厄介事に巻き込みたくない。あの人達は、今回の事件のお陰で、生まれ育ってきた街から、逃げ出さなければならなかった。其れだけだって、大変なことなのに、スパイの人と面識があるなんて事に成ったら、普通の生活が出来なくなってしまう。

 先ずはぶっ飛んだのは、最初に書かれていた文章が。姫様の敬虔な従僕より愛を込めてって言う、ぶっ飛んだ文章から成るラブレターだった。そして、正午にお目にかかれるのを楽しみにしています。で締めになっている。

 此れはいわゆる暗号文って言う奴だ。漫画みたいな事をしてくる。相手は大真面目だって言うんだから、頭が痛くなってくる。此所で読んでいて良いのかなって思うけど。今更だし、どうしようもない。

 確か、馬車に乗るときに、リントンさんに押しつけられた、薄い本が在ったはずである。確か、あの本の背表紙には敬虔な従僕って書いてあったはずだ。いわゆる対照表って奴なのかな。因みに、あたしはあれを少し読んで、意味が解らず投げ出していた。

 表題を見て、此れはいわゆる暗号だって気が付いた。一寸だけテンションが上がったのは秘密だ。イケメンのスパイの映画は良く見ていたし。こう言った話しなんかは、一寸ワクワクするじゃない。

 リントンさんに押しつけられた、薄い本は暗号解読のための解読表の類いかも知れない。それならそうと、ちゃんと言ってくれれば良いのに。

 昔見ていたスパイ物に良く出て来た、解読表の類いだったのね。そんな物、突然渡されても困っちゃうんだ。最新の暗号らしいけれど。昔みたいたスパイ物に描かれている、暗号よりはずっと単純な物だった。解読表と照らし合わせれば、其れなりに内容が分るようになっている。しかも、素人であるあたしの事を考えてか、比較的解りやすい簡単な物だった。

 あたしは、この休憩の間中。サリーさんが入れてくれた、お茶とお菓子をお供に、彼の薄い本と首っ引きで、暗号を解読することに精を出した。ジェシカ・ハウスマンさんや、サリーさんに申し訳なかったのだけど。二人を無視して、暗号解読をする。プロのスパイなら、きっとこんな暗号なんか、直ぐ解読するんだろうけれど。あたしには無理な相談だった。

 内容は、深夜に、橋の下での待ち合わせだった。どのみち、あたしは晩餐会が終わり次第。橋の下を見に行く積もりだったから、何のことはない。行動自体は変更無しって事で。

 さて、どうやって深夜にお出かけをするかだけど。この建物の造りは、把握している。何よりも、中途半端に工事中だから。意外に影が多いんだ。その上、足場なんかもあるから、外に出るのは簡単そうだし。問題は、この御屋敷の中から出ることが難しいだけかな。

 堂々と出掛けるのは、流石にマリアだと駄目だろうから。ナーラダのリコバージョンで、こっそりとお出かけすることになる。ただ、ジェシカ・ハウスマンさんが何て言うかだよね。

 リントンさんの影の人からの呼び出しとは言え。そうすんなり了承して貰える物だろうか。彼女の前で、このラブレターの暗号既読をしていたことが、悔やまれる。


 




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