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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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脳天気な晩餐 11

 此所にはタンポンも生理用ナプキン的な物は無い。色々と足りない物はあるんだけれど。この辺りは本当に、切実で何処かの誰かが商品化してくれるのを待っては居られない。

 あたしもそろそろ女になるから、そういった事も考えていかなければならない。この世界の常識は、矢っ張り遅れていて。場合によっては、月の物がある間は、何処かに監禁するなんて風習があったりするらしい。男どもの無理解のたまものなんだ。

 そう言う意味では、このマルーン邦は意外に理解が浸透している。何より、だいたいこの領地の実質的な領主は奥様だからね。ただ、流石にこういった事をあけすけに話すもんでも無いから。月の物が始まったから、何処かに軟禁されるなんて事はないかな。

 因みに、御屋敷に勤める使用人達は、生理休暇的な物はある。この辺りは、どうやら奥様が決めたことらしいから。本当につい再起の話しなんだ。馬鹿な男も結構多いからね。前世でも、そう言う馬鹿で勘違いしている男は一定数いたから、仕方が無いのかも知れないね。

 如何しても休めない者は、布を畳んで吸収させるようにしている。中々涙ぐましい努力をしているんだ。ジェシカ・ハウスマンさんもその一人で、結構しんどそうにしていたな。因みに、女もベテランになると、血が出るときが判るらしく。そそくさと花摘みに行っていたな。そう言う意味でも、ベテランメイドのサリーさんを、あたしは尊敬している。


「この部屋覗かれていますよ。中々不作法な人達ですね。気になるのも判りますけれどね」


 あたしは少し声を潜めて、この部屋は客人の監視部屋だって告げる。あっちの御屋敷で、監視しなければならないような人物は、何かと問題がある者に限られている。何よりも、監視されているなんて事が、相手に気付かれた時点でアウトなんだ。

 あたしは怒っても良い立場なんだよね。なんちゃってだけれど、この領の支配者の娘なんだからさ。ただ、あたしの五感は特別製らしいから、その事を知らせることもないから。如何したモンかな。


「良く気付きましたね。橋の不備が明るみに出てしまったから、あの方達も気が気でもないのでしょう。さすがは、ハーケン様のお子様ですね。良く訓練されていらっしゃる」


 あたしは視線で、何処か精悍な若者が、剣を携えて立ってる姿が描かれている油絵の方を知らせる。


「其れほどでもないよ。狩りには必須だから」

「そうでしたね。貴女は凄腕の猟師でもあったんでしたね」


 うわべを取り繕う。悪役令嬢マリアの身体は、色んな意味でハイスペックに出来ている。森の中での狩りには五感は必須だ。その気になれば、服のすれる音を聞き取ることが出来る。どんなに音を立てないように気を付けていたとしても、そう言った僅かな音は出るもんだ。


「其れで何だけど。此所ではお話が出来ないような気がするんですけど。如何しましょう」

「心配要りませんよ。流石に、このまま監視は続けられないと思いますよ。何より、自分の居場所が特定されているのですから」

 そう言うと、ジェシカ・ハウスマンさんが徐に、大きな絵画の処に、そっと近付いて、軽くノックをする。


「女の部屋を覗くのは、余り感心しませんね。何だったら、奥様にご報告差し上げますわよ」

と、ジェシカ・ハウスマンさんのドスの利いた声。意外に怖い。


 


 


 


 


 

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