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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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脳天気な晩餐 7

 足場が掛けられた、馬車のガラスの無い窓から御屋敷の周りを眺めながら。なんとはなしに、溜息が漏れるのを止められなかった。今の子爵は何を考えているのだろう。勿論、お隣の国が未だに、侵略を諦めていない。其れは判るのだけど、今こんな無駄遣いをすることも無いと思う。

 だいたい、この構造を見る限り。此れって、自分達だけを守ろうとしているようにしか見えない。実際、この城壁を作るのに、御屋敷周辺に住んでいた、住人は如何したんだろう。御屋敷の側だから、概ね関係者の物が多かったとは思うけれど。その人達のうちは如何したのか、一寸気になってしまった。

 マッキントッシュ卿が用意してくれた、馬車が次第にスピードを下げて、ゆっくりと止まる。御者は子爵の雇った、いわゆる専門の御者だ。流石の手綱さばきと言えるんだろう。何より、馬車を引いている子達が賢いからね。

 馬車の扉を、ノックする音が聞こえる。馬車から降りる準備が整ったと言っているんだ。今回は誰が、エスコートしてくれるんだろう。レイだったら、気安くて良いんだけれど。既に、子爵邸の敷地内だし。子爵本人の可能性の方が大きいかな。

 あたしの座っている場所からは、ノックを為た人の姿を確認できない。こちら側には、内側から鍵が掛けられているから、馬車の降り方まで、事細かく決められている。本当に、貴族の謎ルールは理解できない。そう言うもんだって納得する以外無いのがなんともね。

 ジェシカ・ハウスマンさんが、その雀斑のある顔を綻ばせる。彼女が、何時も目上の人に対するときに、作る笑顔だ。因みに、この顔はあんまり相手の人の事には好意を持っていない。流石に、結構長い間一緒にいると。彼女の表情から、心を推し量ることが出来るようになる。

 この技能を、昔も獲得していたら。もう少し上手く生きられたんじゃ無いかなって思う。もっとも、悪役令嬢マリアのスペックありきなのかも知れないけれど。


「何方?」


 あたしの質問は、当然のことだと思う。あんまり好意を感じさせない、彼女の笑顔だから。


「マッキントッシュ卿です。先代よりは賢い方ですから、マリア様も宜しくお願いしますね」


 徐に、ジェシカ・ハウスマンさんが内鍵を開ける。いつの間にか、内鍵を掛けていたんだ。此所には、結構なお金があるから仕方が無いのかも知れない。

 今の言葉を、あたし在りに翻訳すると。マッキントッシュ卿は、先代のお爺ちゃんより腹黒ですから、下手こくんじゃ無いと言っているわけだ。此れからは、御貴族様の腹の探り合って訳だ。あたしや、勘弁して欲しい。

 暗い森の中で、獲物を追っていた方がずっと気が楽だ。命がけの挑戦だけれど。腹の探り合いみたいに、陰湿でも無いし。判りやすいからね。

 はたして、扉が外に開かれる。

 笑顔を称えた、マッキントッシュ卿の姿を視認できる。こうしてみると、其れなりに綺麗なお顔をしている。すっと、右手を掲げて、ジェシカ・ハウスマンさんを綺麗にエスコートする。

 あたしが気になったのは、彼の視線が侍女のお仕着せの衣装を少し嫌らしい視線で見たことかな。次に降りることに成っている、ベテランメイドのサリーさんをエスコートしたのはレイの奴だった。

 何かマッキントッシュ卿は、ハウスマンさんに何か話しかけている様子だった。年格好的には、結構釣り合う並びになるんだろうか。この人、何人かそう言う関係の人がいたはずだよね。

 あたしが馬車を降りる段階になって、少し足早に、マッキントッシュ卿がステップの処までやってきた。少し早く、あたしが馬車を降りようとしてしまったみたいだ。

 あたしは、少し足を止めて辺りを見回す。ようやく最後尾の家族が門の中に入ったところだった。あたしが、彼の家族のことを気に掛けているのに、気が付いたのか。マシュー君の奥さんが、小さな羊皮紙を振って見せてきた。

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